「関西スーパー」争奪戦、H2Oは“試合に勝って勝負に負けた”

 阪急阪神東宝グループの小売り部門で、イズミヤや阪急オアシスの食品スーパーを展開している「エイチ・ツー・オー リテイリング」と、やはり関西でスーパーを展開する「関西スーパー」が経営統合を目指す中、関西スーパーの大株主で関東でディスカウントスーパーを展開する「オーケー」が株式公開買付け(TOB)で待ったをかけた“関西スーパー争奪戦”。

 10月29日に開催された関西スーパー臨時株主総会でH2Oとの統合案が3分の2以上の株主の賛成を得たことで、争奪戦はH2Oの勝利となった。ところがこの結果を受け、周囲の評判は芳しくない。

「統合には3分の2以上の賛成票が必要でこれをクリアしたものの、数字的には66.8%と綱渡りの勝利でした。これを受けたマスコミ報道でも、『こんな経営陣に任せられない』『株は手放す』との反対派株主の手厳しい批判の声が紹介されていました。そしてそんな意見を裏付けるかのように、週が明けた11月1日の関西スーパーの株価は大幅な下落で、週末の株価より400円も安い1448円で取引を終えるという、制限値幅下限のストップ安でした」(経済ジャーナリスト)

 なぜこんなに根強い反対論があるかと言えば、統合案に反対したオーケーが提示したTOBでの買取価格は上場来最高値と同じ2250円だったからだ。つまりは過去の業績を照らした時に最大限の評価を行っていたということだ。

「堅調な業績で安定している関西スーパーは、イズミヤと阪急オアシスなどよりはるかに好調。一緒になる理由が不明確だからです。だからアメリカの投資助言会社が株主らに反対票を投じるよう推奨していたところ、H2Oが抗議するという一幕もあったくらいです」(前出・ジャーナリスト)

 さてその後、株価はいったん大きく下げたのだから反発して少しは上向くかと思いきや、1200円を超えたところで低空飛行を続けるまま。地元の業者にしてみると、同じ関西の系列なので「取引先が重なって安心」との声も聞こえるが、一般の消費者にとって毎日使っているスーパーがどう変わるかは大きい。

 今まで通り愛されるスーパーであり続けられるかは今後の推移しだいだろう。

(猫間滋)

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