「桑名正博の息子」「ニセつんく♂」一世を風靡した“フェイクスター”たち

 世間を騒がせたニセ有名人たちは、まさに千差万別。皇族をかたったペテン師から大人の事情で改名を余儀なくされた新人俳優まで多士済々。ここに一挙大放出しよう。

 03年4月、大正時代に断絶したはずの「有栖川宮家」に耳目が集まった。ワイドショーを賑わせた「ニセ皇室詐欺事件」である。東京・赤坂の「シティクラブ・オブ・東京」で、有栖川宮識仁こと北野康行と、有栖川晴美こと坂本晴美夫妻のド派手な結婚披露宴パーティーが開催された。出席者の1人だった、テレビコーディネーターの京子スペクター氏が語る。

「かねてからおふたりのことは疑っていました。奥様のほうはファーストコンタクトから怪しかった」

 2人が出会ったのは、前年の9月に箱根で開かれたダイヤモンドジュエリーの展示会だった。

「お互いに名刺交換するや『今度、殿下と結婚するんです』と、初対面の私に話したんです。皇族の人は、結婚を見ず知らずの他人にベラベラ喋りませんよね。皇室関係の知り合いに確認しても『絶対ニセモノ』と言われるばかり。それで後日、開かれたパーティーに偵察に行きました」(前出・京子氏)

 そこで見た光景は〝やんごとなき〟雰囲気から大きくかけ離れたものだった。

「実際の招待状には『晩餐会』と書かれていました。それなのに立食パーティーでした。出席者の方も殿下が主催のパーティーというには、ふさわしい装いじゃありませんでした。CD大のお皿に食べ物を山盛りに載せていたんですから。皇室のパーティーというにはかけ離れた人がたくさん。すぐさま、退出してしまいました」(前出・京子氏)

 400人の出席者から集めたご祝儀は約1300万円。同年10月、夫婦ともども詐欺罪でお縄にかかる。

 ロック歌手・桑名正博の長男を自称したのは、18年にメディアを賑わせた桑名乃羅氏である。

「目撃情報は全国津々浦々。その土地の居酒屋などで、桑名さんの代表曲『セクシャルバイオレットNo.1』を歌ったり、ポエムを執筆する代わりに居合わせた客に飲み代をおごってもらっていたようです。ただ、本物の息子の美勇士(40)より父親にソックリなのがややこしかった」(芸能記者)

 有名人をかたって甘い汁を吸おうとする不埒な存在も絶えない。

「97年に横浜に出没したのがニセつんく♂。意気投合した女の子と野球拳をして敗北し、マッパになった写真が写真週刊誌に掲載されました。02年に六本木のクラブで発見されたニセ村上春樹も、ガールハント三昧の模様が報じられている」(前出・芸能記者)

 いずれも汚名は、正体がバレるまで本物が被ることになるわけだから浮かばれない。一方、どちらが本物か、訴訟に発展した例もある。

「90年当時、トレンディー御三家とも言われた加勢大周(51)に強行独立された前所属事務所が、その芸名の使用停止を求めました。結果、本家を主張する『新加勢大周』がデビュー。結局、ひと月も経たないうちに坂本一生(50)に改名しました。続く92年には、矢沢永吉(72)のものまね芸人・矢沢B吉が、本人サイドから肖像権の侵害で訴えられる事案がありました。北海道のパチンコ店のCMに出演した映像が本物に似すぎたのがまずかった」(ワイドショーデスク)

 くれぐれも、類似品にはご注意ください

*「週刊アサヒ芸能」12月16日号より

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