社名変更しても嫌われ? 米成人の3/4が「FaceBookは社会に悪影響」と回答

 新しい社名に馴染むにはもう少し時間がいるのかもしれない、旧「フェイスブック」の「メタ」。未だ実現していない仮想現実空間の「メタバース」を社名に冠する辺りが違和感を抱かせるのか、それは正式な社名にも表れているようで。

「一概にGAFAと括られるフェイスブックですが、携帯端末を押さえているグーグル、アップル、ECコマースで巨大な存在であるアマゾンのようなプラットフォーマーに比べて、本家のフェイスブック、インスタグラム、日本におけるLINEのようなワッツアップなどを擁する旧フェイスブックはどうしたって『所詮はSNSの会社』というイメージを免れませんし、事実そうです。CEOのザッカーバーグはそこから脱皮したいのでしょう。新しい社名のメタは通称で、届け出された正式な名称は『メタプラットフォームズ』で、メタバースを通じてプラットフォーマーになるんだという意思・祈願のようなものが伺えます」(経済ジャーナリスト)

 だが、いくらザッカーバーグが新しい企業に生まれ変わりたいと願ったところで周囲はそうもいかず、このほどCNNが行った世論調査では、アメリカの成人の76%が旧フェイスブックは「社会に悪影響」と考えているという、ザッカーバーグ本人が目を覆いたくなるような結果が出たという。

 調査は旧フェイスブックが社名を変更した10月28日以後の、11月1〜4日に行われたもの。調査会社が約1000人の成人を無作為抽出して行った。逆に「良くしている」と回答した人はわずか11%で、残りの13%は「どちらの影響もない」としている。

 かなりのこじらせ具合を感じさせるのが、否定派は性別や年齢、人種を問わず一定だったということ。要は、広い層におしなべて悪印象を持たれているということだ。ちなみに保守的な共和党支持者に至っては、82%が否定派という。

 同社に関しては、元プロダクトマネージャーだった人物が、「フェイスブックがいかに子供を含む利用者がフェイスブック中毒に陥るように仕向けて」その研究を行っていたことを議会で暴露。社名変更にはイメージ刷新の狙いもあったはずだが、この問題が広げた波紋はアメリカ国内に留まらず、欧州でも更なる規制強化の動きが生じている。

 とんだ嫌われぶりだがさらに一方では、ザッカーバーグが試みるメタバース企業への脱皮そのものも専門家筋の評判は芳しくないともいう。

「メタでは次世代のメタ部門と従来のSNSを中心としたビジネス部門とを分けた、新たな決算発表の導入を打ち出しています。となれば、もちろん従来の稼ぎ頭である従来部門が健在であることが求められますが、アップルが4月にプライバシー保護のための新たな広告規制を敷いたことで、広告を主力事業とするIT企業に大きな影響をもたらして、旧フェイスブックはかなりの悪影響を受けています。そこで、同社の売り上げの大半を占めるこの部門の成長さえおぼつかないにもかかわらず、おそらくは本格実現には5〜10年を要するであろうメタバースに社運をかけて注力するタイミングではない、という見方が多くを占めています」(前出・ジャーナリスト)

 ザッカーバーグはこういった見立てにも、アップルやグーグルによらないプラットフォームなのだと反論し、VR用ヘッドマウントディスプレーなど、メタバースの実現に必要なハードウェアを売る実店舗を展開する計画だという。仮想現実を掲げる一方で物販を行うというのだから、なんだか悪い冗談のような話なのだ。

(猫間滋)

ビジネス