エンゼルスの大谷翔平選手が打撃のベストナインとも言える「シルバースラッガー賞」のア・リーグ指名打者部門で初選出された。
ピッチャーとして23試合130イニング以上を投げたうえでの“打者評価”である。米メディアもこの初受賞の意義を伝えていたが、収まる気配を見せないのが、大谷の去就問題だ。
「大谷の代理人を務めるネズ・バレロ氏と、エンゼルスのペリー・ミナシアンGMがゼネラルマネジャー会議前日(11月9日/現地時間)に会談していました。バレロ氏はリップサービスをしてくれない人なので、のらりくらりと記者たちの質問をかわしていました。会談の目的は2023年以降の契約のことだと思いますが」(米国人ライター)
バレロ氏は執拗に迫る一部メディアに対し、「(大谷は)エンゼルスの一員でいることを気に入っている」と答えたそうだ。当たり障りのないコメントだが、一般論として、有名・大物選手は契約満了前に延長契約を結び直す事例も多い。米メディアがバレロ氏とミナシアンGMの会談にざわついた理由は、ここにある。
「エンゼルスと大谷の契約は22年まで。23年、大谷がどこのユニフォームを着ているのか、ミナシアンGMも慰留のため、大谷サイドの要望を聞き出している最中だと思われます」(前出・同)
しかし、大谷サイドからすれば、早々に結論を出すのは得策ではないようだ。今オフ、MLB機構と同選手会が新たな労使協定を結ぶための話し合いを行うが、ナ・リーグもDH制を採用する可能性がかなり高い。大谷はDH部門で「シルバースラッガー賞」を獲得した。エンゼルスとの残留交渉が遅々として進まないとなれば、ゆくゆくはナ・リーグ球団も獲得に乗り出すのは必至だ。
「ナ・リーグのDH制導入に興味を示している選手はたくさんいます。定位置を失ったベテラン、それから、パイレーツからの残留オファーを進めず、フリーエージェントになることを選んだ筒香嘉智もそうです」(現地取材記者)
今季のエンゼルスを見れば分かる通り、ナ・リーグがDH制を採用すれば、先発投手の好不調と、DHに入ったスラッガーの一発が試合を左右する。その両方を務めることのできる二刀流・大谷の価値はさらに高まる。やはり、大谷は早々に残留オファーの返答をすべきではないだろう。
(スポーツライター・飯山満)