石井琢朗コーチ「退団」で加速する原巨人の“阿部へのミクス”

 クライマックスシリーズを前にして、原巨人は来季に向けたチーム改造に着手した。11月2日、石井琢朗、片岡治大両コーチの退団を発表。石井コーチは古巣・ベイスターズへの帰還が報じられているが、シーズン終盤、三軍担当に配置換えとなった時点から「何かあったのでは?」と疑念を抱く声も多く出ていた。

「ベイスターズからの招請が明らかになってから整理された情報ですが、そもそも巨人はシーズン終盤になると、コーチとフロント幹部が個別面談し、契約のことやチーム展望で意見交換をします。この時点で、何かあったのだと思われます」(球界関係者)

 石井コーチが巨人入りしたのは、2020年。当時の原辰徳監督はチーム強化策として、巨人OB以外の指導者も加入させようとしていた。

「巨人指揮官への復帰が決まった18年オフには、立浪和義氏にオファーしていたことが後日談として伝えられました。中日の監督になりたくてもチャンスが回ってこない当時の立浪氏を心配し、星野仙一氏が原監督に話を通しました。でも、立浪氏は“中日愛”を貫き、外部コーチを欲していた原監督が、1年経って、石井コーチにアタックしたんです」(同前)

 しかし、石井コーチは信頼関係を構築できなかったとの情報も聞かれた。原監督から「任す」とは言われていたものの、石井コーチは練習内容や集中的に指導した選手のコンディションなどについてつぶさには報告していなかったという。その通りだとすれば、「任す」の意味を双方が取り違えたことになる。

「来季、一軍担当となる阿部慎之助コーチが打撃指導面を統括するとも言われています。元木大介ヘッドコーチ同様、作戦参謀としての役目も担うのは間違いありません」(ベテラン記者)

 やはり、次の指導者を育てていくことに重点を置いていくのだろう。

 近年のプロ野球界では、技術指導に長けていても、それだけではコーチ業は務まらないという。最近の若手は技術を高めることには貪欲でも、「どうしたら、チームに貢献できるのか」「試合で起用してもらえる選手とは?」などを、考えているようで考えていないそうだ。そんな世代間のギャップをどう埋めていくかが、原-阿部体制のメインテーマとなりそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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