先日、イギリスの投資会社CVCキャピタルパートナーズが、家庭教師派遣大手『家庭教師のトライ』を運営するトライグループを約1000億円で買収する方向で検討していることが報じられた。投資会社のこうした買収自体はよくある話だが、世間が一番驚いたのは同社の社長が二谷友里恵氏だったこと。
昭和の名優、故・二谷英明と女優の故・白川由美の一人娘で80年代に数々のドラマに出演したかつての人気女優。また、郷ひろみの元妻といえば覚えている人も多いだろう。
実は、98年に郷と離婚し、00年に再婚したのだが、この相手というのが家庭教師のトライの創業者で現・代表取締役会長の平田修氏。その後、05年に彼女が社長に就任するわけだが、「単なるお飾り社長ではなく、新事業を次々と展開し、業績を大幅に伸ばした中興の祖。その経営手腕は経済界でも高く評価されています」と語るのはビジネス誌の編集者。
さすがに同社ほどの規模ではないが、近年は芸能人が自ら社長として本業とはまったく別の事業を行うケースが増えている。飲食店を経営する者は以前から多かったが、ピン芸人のたむらけんじは焼肉店など10数店舗をチェーン展開するほかに通販に力を入れ、さらに中古車の販売買取や整備を行う別会社も持っており、多角経営を行っている。
他にも生キャラメルで大ブレイクし、今や北海道を代表する企業となった花畑牧場の創業社長である田中義剛、アパレルブランドを展開し、ファッションアイテムや雑貨を扱う通販事業を手掛ける柴咲コウ、昨年8月から始めた遺書動画サービスの運営会社社長の田村淳(ロンドンブーツ1号2号)、町おこしなどの地域活性化事業を扱う会社を16年に設立したT.M. Revolution西川貴教など事業内容はさまざまだ。
「芸能人は好奇心旺盛で独立志向が強いことに加え、情報に触れる機会や出会いが多いのでビジネスチャンスも生まれやすい。芸能活動とは異なる事業を行う社長芸能人は今後ますます増えていくと思います」(同)
そのうち芸能人社長が代表を務める会社が上場なんてこともあるのかもしれない。