食用油に砂糖、小麦、輸入牛肉…と、これまでコロナ禍で身近な食料品の値上げが相次いで伝えられたが、どうやらその傾向はダラダラと続くようで。
「9月の頭ころに日清オイリオグループとJ−オイルミルズ、昭和産業の大手3社が11月納入分の家庭用・業務用の食用油の値上げを発表しましたが、すると今度は9月13日に小岩井乳業が11月1日の出荷分からマーガリンの値上げを発表。食用油の値上げは今年に入ってもう4度目で、関連商品にも影響が及んでいます」(経済ジャーナリスト)
値上げ幅は1キロ当たり30円以上。理由は2020年後半から主原料の大豆や菜種、パーム油の国際価格が上昇していたところに、中国やインドの需要増加、産地の天候不順、コロナ禍での輸送の混乱が重なったからで、21年に入ると4月、6月、8月と連続して引き上げられた。
特に大豆の値上がりは深刻で、米国の指標では20年から21年の1年間で約2倍にまで膨れ上がっている。マヨネーズでは味の素とキユーピーが共に8年ぶりに価格を引き上げている。
コロナ禍で外食が減って多くの家計にはプラスになったことだろうが、日常の消費で細かく搾り取られていくことになる。ましてや外食産業に至っては、コロナ禍で経営がギリギリのところにさらなる負担がのしかかって、もはや既に限界なのにさらに追い詰められるということもあるだろう。
小麦粉も事情は同じ。9月7日、政府が輸入小麦の製粉会社などへの卸値を約10%値上げすることを公表したからだ。
「日本の小麦粉は約90%を輸入で補って成り立っています。なので政府は安定供給のために半年ごとに価格調整を行っています。今回の値上げ幅は09年以来の過去2番目の高さ。農水省の試算によると、家庭への影響は薄力粉で1キロ14.1円、食パン1芹2.3円、外食のうどん1杯1.4円の値上げになるとされています」(前出・ジャーナリスト)
近年は高級食パンが人気だが、小麦粉の値段が上がれば当然パンの値段も上がり、パンの友となるマーガリンやマヨネーズなどの値も上がる。せめてものおうち料理まで金がかさむというのだから、なんとも世知辛い話なのだ。
(猫間滋)