破綻危機の京都市、「財政再生団体」に転落したらどうなる?

 自治体トップの門川大作市長が「このままでは10年以内に財政は破綻しかねません」と発言し、大きな波紋を呼んでいる京都市。実質的な借金は8500億円に上り、これは全国の政令指定都市の中では最も多い額だ。

 人口は区市町村では全国8位となる145万人(※21年8月時点)、コロナ前の19年に5352万の観光客が京都市を訪れており、税収の少ない過疎の自治体とは違うはず。にもかかわらず、なぜここまで借金が増えたのか疑問に思う人も多いだろう。

 だが、京都支局に赴任歴があり、現地の財政事情に詳しい元全国紙記者は「街の規模に対して税収は意外と少ない」と指摘する。

「京都は市内に38の大学・短大を持つ日本一の学生の街です。バイト代が年間100万円を超えれば課税対象となりますが、住民票を実家に残したままの学生も多い。実際、京都市で住民税を収めている人の割合は約43%と市民の半分もいません。また、景観保護の規制により大型マンションを建てるのが難しく、固定資産税がかからない神社仏閣が多い。さらに京都市営地下鉄は採算が取れず、毎年莫大な赤字を垂れ流しています」(元全国紙記者)

 もし財政破綻が現実のものとなれば京都市は財政再建団体に転落し、行政サービスは大きく制限されることになる。平成以降で財政破綻したのは北海道夕張市のみだが、住民税は日本一高くなり、水道料金や軽自動車税、公共施設の利用料も値上げ。ゴミ出しも有料となり、市の出先窓口も閉鎖された。

「すでに京都市でも中央区にある市営聚楽保育所が今年5月、令和8年度で廃止する通知を保護者に送っています。もし破綻すれば、保育園だけでなく公立の幼稚園や小中高校の統廃合は避けられないでしょうね」(同)

 夕張市はもともと過疎の町だったが、財政破綻後に住民流出がさらに加速した。現在はコンパクトシティとして再建の目途が立ったとはいえ、地元市民に大きな負担を強いることになったのも事実。

 京都市は今後5年で1600億円の収支改善を目標に掲げているが、なんとか達成して財政破綻を回避してもらいたいものだ。

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