京都市が導入予定の「空き家税」に「財政難の穴埋めに使うな!」の大合唱

 京都市がかねてより検討していた「非居住住宅利活用促進税」。メディアでは「空き家税」という呼び名で紹介されているが、3月下旬に総務省の松本剛明大臣がこれに同意。国からのゴーサインが出たことで京都市は26年度からの導入を目指して準備を進めている。
 
 ちなみに同税の課税対象となるのは、空き家や別荘などふだん人が住んでいない住宅。全国の自治体では初の試みだが、当然ながら物件所有者や不動産会社からの評判は良くない。

 50代の男性会社員Mさんは右京区内に相続した実家を所有するが、数年前から空き家状態。建物の老朽化などが影響し、売却を希望するも買い手が見つからないという。

「経済的な余裕がなく、家を取り壊すにも解体費用の捻出が厳しい状況です。市が用意する解体補助金制度を受けたくても条件が合致しません。空き家税を導入するなら対象家屋の所有者には解体補助金を出すか解体費用の無利子貸与などをしてほしい」(Mさん)

 また、市内で不動産会社を経営する男性も空き家税の導入には反対だと主張する。

「別荘やセカンドハウスだけを対象にするなら一種のぜいたく税としてまだ理解できますが、空き家は処分したくてもできない事情を抱える人も少なくありません。なにより市が税収目的のために導入したのではとの不信感もあります」(不動産会社経営者)

 市は「空き家税を導入することで、住んでいない家を手放してもらい、若い人に住んでもらいたい」との狙いだというが、総務省「住宅・土地統計調査」によると、京都市の空き家率は直近の18年の調査時点で12.8%。その前の13年までは増加傾向だったが減少に転じており、全国平均の13.6%を下回る。そのため、住宅問題に詳しい元京都支局の大手紙記者は「導入するだけの説得力に欠け、市民からの同意もそこまで得られていない」と指摘する。

「実は、京都市は慢性的な財政難で、このままだと北海道夕張市のように破綻する可能性も懸念されています。今回、市側は『税収目的ではない』と主張していますが、財政難による財源確保だと言ったほうがまだ説得力があったと思います」(大手紙記者)

 京都に空き家を所有する人はもちろん、自宅がある人も今後ずっと住み続けるとは限らない。住民たちにとって将来の悩みのタネにならなければいいが…。

マネー