サボリーマンは刑務所送り!北朝鮮「無断欠勤」取り締まり強化の実態

 まるで、北朝鮮国民の断末魔の声が聞こえてきそうだ。

 北朝鮮では、学業・兵役を終えた男性は国営企業、機関に勤めることが義務付けられているため、無職であることは当然のこと、会社を無断欠勤することも違法である。ところが、コロナ禍の中、食糧が底をついた人々が、生きていくために仕事を放棄、市場で商売を始めたり、家を捨てて地方で放浪生活をする者が急増。当局が、そんな状況に歯止めをかけるべく、無断欠勤者や無職者などの取り締まり強化に乗り出しことが、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によって報じられた。

 北朝鮮事情通が語る。

「かつて北朝鮮は、食糧はむろん、住宅、生活必需品など、ありとあらゆるものが配給された、世界でも類まれな配給社会でした。しかし、共産圏崩壊後の1990年代前半から配給が徐々に減り始め、5年後の95年には一般国民への配給がほとんど途絶えてしまった。そして『苦難の行軍』と呼ばれる大飢饉が起こり、大量の餓死者が出た。それから20年の時が流れましたが、コロナ鎖国下で、北朝鮮はいま当時の状況に戻りつつあります。その結果、家族を食べさせるために仕事を辞め、少しでも金になる仕事を求め、地方へ出稼ぎに出る人たちが後を絶たないようです」

 北朝鮮は『苦難の行軍』により、社会主義計画経済が壊滅的ダメージを受けて以降、国営の工場などで勤務する男性に代わり、女性が市場などで商売して現金収入を得ながら、一家を養うというケースを許可してきた。そのため、夫が妻の商売を手伝うとして、職場に一定額の現金を支払えば出勤を免除してもらえる「8.3ジル」という制度が出来たという。

 だが昨年来、この制度を利用し「妻の仕事を手伝う」として、そのまま姿を消す従業員も多いため、「8.3ジル」利用者への取り締まりが強化されているという。

「出勤していない従業員に対しては、各組織の担当者が安全員(警察官)と共に、従業員の自宅を訪問、自宅にいない場合には親戚や知人宅まで訪ね、行方を探すのだとか。また、各地域の安全部(警察署)は、工場や企業所、機関に対して従業員の出勤状況を1日2回、分駐所(派出所)に報告させ、無断欠勤者などを発見した場合は、即、労働鍛錬隊(刑務所)送りにしてしまうと言われています」(同前)

場合によっては「無断欠勤」だけで最高で1年の懲役刑となるというから、なんとも驚くばかりだか、

「国民感情としては、食べるものがないなかで、もはや無断欠勤も何もありませんからね。とにかく今日一日のご飯を食べるために、その日を凌いでいかなければならない。正直、北朝鮮国民の食糧事情はそこまで逼迫しているということです。そして、その怒りの矛先は当局や軍部に向くことは言うまでもありません」(同前)

 コロナ鎖国が解かれない限り、北朝鮮国民の苦難はまだまだ続きそうだ。

(灯倫太郎)

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