中田翔の電撃巨人入りで際立った「原-栗山」友情ホットライン

 中田翔内野手の巨人入りが発表された。8月20日午前9時過ぎ、日本ハム球団からNPBに「出場選手登録の抹消などの手続きがある」旨が伝えられ、各メディアがざわついた。「やはり、中田の放出か?」と裏取りが始まり、巨人側も「11時過ぎに会見を開く」と伝えた。

“電撃トレード”ではあったが、思い出されるのは栗山英樹監督の16日の会見。神戸市内のチーム宿舎で行われた“即席会見”ではあったが、「正直、このチーム(での復帰)は難しいと思っている」の言葉は、この巨人行きを前提に語られたものだったのかもしれない。

「栗山監督は言葉を選ぶのが上手。日本ハムで再起するのが難しいとの言葉は、『中田に現役を続けさせてやりたい、そのためなら他球団でも』の思いから出たものでしょう」(球界関係者)

 それにしても「まさか、巨人」というのが、ファンそして関係者の第一印象だろう。2015年から16年にかけて発覚した野球賭博事件以降、「もっともコンプライアンスに厳しい球団」となっている。暴力事件の加害者を獲得するとは誰も予想できなかった。

 しかし、栗山監督と原辰徳監督の友情を指摘する声も聞かれた。

「栗山監督は東海大学野球の臨時コーチを務めた縁で、同大学の野球部OBが一堂に集まるゴルフコンペの幹事役を買って出るなどしています。東海大ファミリーの一員となっていて、原監督も慕っており、中田に対する思いをどこかで打ち明けていたのかもしれません」(前出・同)

 中田獲得が急展開で決まったのは間違いないだろう。もし中田を獲得するつもりがあったのであれば、右の大砲候補として、スコット・ハインマンとは契約しなかっただろう。ハインマンは外野手兼一塁手として紹介されており、外野守備もできる中田とは、バッターとしてのタイプが完全にかぶる。

 原監督も「中田に再起のチャンスを」と考え、栗山監督の思いに応えたのかもしれない。

「交換要員ナシ、金銭などの見返りもありません。まあ、事情が他のトレードと異なるので、日本ハム側も見返りは求められませんし、巨人も交換要員を出すことはできないでしょう」(ベテラン記者)

 中田も生まれ変わることができなければ、オトコではない。チームをかき回され、かつ4番を喪失する日本ハムは“踏んだり蹴ったり”だろうが…。

(スポーツライター・飯山満)

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