無人の餃子販売店が物凄い勢いで急増している。全国各地で乱立している模様なので出店ラッシュの正確な状況は不明ながら、ネットにはどこそこに出来たので「利用してみた」などの利用報告が頻繁にあがっている。
中でも有名なのが「餃子の雪松」。発祥は温泉で有名な群馬県水上で、80年以上続く温泉街にひっそりと佇む単なるお食事処だという。
「18年9月に餃子の無人販売に乗り出したところ、コロナ禍のお家生活と非接触も相まって火がついた形ですね。7月段階で全国200店舗近くにまで拡大しています。直売所スタイルなので餃子をケースから取り出して料金を箱に入れるだけ。当然、万引きが心配されますが、料金箱の見た目を賽銭箱に模したところ、特に問題は起こっていないと言います」(フードライター)
初めは自販機やセルフレジの導入も検討したが、結局は今のスタイルに。もしダメなら人を置けばいいくらいの気持ちで始めたそうだが、拡大の勢いを見れば杞憂だったことが分かる。
主に大阪でやはり急拡大しているのが、こちらも創業45年の老舗「大阪ふくちぁんラーメン」が展開する「生餃子無人直売所」。45周年の節目ということで始めたという。同じく客が自ら袋詰めし「料金箱」にお金を入れるスタイル。24時間営業ということもあってやはり万引きが心配されるが、監視カメラで特に問題は見つかっていないという。
春に上京して、故あってこの夏に大阪に帰省した人によれば、「街を歩くとよく目に付くから友人にそのことを訊いたら『え!そんなの知らなかったの』と当たり前のように言われました」とのこと。こちらは2月に1号店をオープンさせ、現在、大阪に16店舗、兵庫に6店舗を展開中だ。
名古屋では自販機も存在している。設置しているのは台湾の「鍋貼」(焼き餃子)を提供する中華料理の「知多屋鍋貼」(チタヤグゥオティエ)で、こちらは餃子だけでなく酸辣湯も購入できる。ところでこの自販機、その名も「ど冷えもん」といい、自販機やフード機器の製造・販売を手掛けるサンデン・リテールシステムという会社の製品。「ど冷えもん」は有名ラーメン店の冷凍ラーメンが買える自動販売機などでも利用され、1月の販売以来7月の半年間で1000台以上の注文を集めるヒットになっているという。
飲食業界では人件費節減と非対面の必要性から省人化が進んでいる。加えて無人店や自販機は時短営業の解決にもなるので、ますますこの手の店舗・機械は増えそうだ。
(猫間滋)