「投手・大谷VS打者・大谷」究極5番勝負(1)プロ野球解説者が真面目にシミュレート

 メジャーのオールスター戦に投打で出場。そうなると、こんな夢の対決を考えたことはないだろうか。投手オオタニと打者オオタニ、どっちが強いんだ? この命題に果敢に挑んだのが、一家言あるプロ野球解説者。ハリウッドの怪獣映画顔負けの〝ショータイム〟をここに完全再現する。

「二刀流」の侍が米球史に新たな歴史を刻んだ。7月14日の「MLBオールスターゲーム」にエンゼルスの大谷翔平(27)が初選出。しかも「投手兼指名打者」という夢の〝共演〟の実現である。MLB評論家の友成那智氏が鼻息も荒く語る。

「まさに大谷のために用意された檜舞台といっても過言ではありません。その存在感は米球界に留まらず、NBAのスター選手ケビン・デュラントが『人間並みじゃない』と称賛の声を上げたように、他競技のトップ選手からも一目置かれるほど注目度が増大しています」

 全米中がメロメロになるのも無理はない。大谷は6月には野手として球団タイ記録の13本塁打、投手として2勝をマークして、初のア・リーグ月間MVPに選出された。日本人野手としては、04年8月のイチロー、07年7月の松井以来、3人目の偉業である。

「さらに、6月28日〜7月4日の6試合で6安打の全てがホームランという離れ業を見せて、二度目の週間MVPを獲得しました。投手としては7月1日のヤンキース戦で0回2/3を7失点する大乱調で二刀流による勤続疲労がささやかれましたが、続く7日のレッドソックス戦は7回2失点に抑えて見事に復活。防御率3.49は、メジャーのエース級にふさわしい数字ですよ」(友成氏)

 もはや飛ぶ鳥を落とす勢いは、多士済々のメジャーリーガーでも止められない。まさに二刀流は冴え渡り、投げるも打つもよし。ならば、「究極の矛と盾」よろしく、メジャー屈指のホームラン打者、片や160キロの超速球を操る本格派右腕のオオタニ同士が対決したらどうなるのか。

 そんな「夢の対決5番勝負」を打者の視点から松永浩美氏が解説。投手目線では、かつてエンゼルスの日本担当スカウトも務めた角盈男氏に登場願った。

 では早速、プレーボール。まず、投手・大谷が1球目に投じた151キロのストレートは真ん中高めに大きく外れた。通常なら見送るべきボール球だが、絶好調の打者・大谷は迷わずフルスイング。打球速度170キロの弾丸ライナーがライトスタンドに突き刺さった。松永氏は万雷の拍手で、

「5月18日の今季13号を彷彿させるホームラン。傍目にはボール球でも、打者・大谷からすれば絶好球だったのでしょう。ストライクゾーンならぬ〝オオタニゾーン〟です。調子が良いだけに、ボール1個分外れたコースでもストライク認定しているのかもしれません。私も現役時代に『マツ、今のボール球やったけどよく打てたな』なんて言われてきましたが、下に敷いてあるホームベースはあくまでも基準に過ぎません。本能的に打てる軌道のボールを振り抜いた結果ですね」

 出会い頭の本塁打。しかし、現在の打者・大谷ならやむを得ないといったところか。

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