北海道日本ハムの斎藤佑樹投手が復活マウンドに立った。去る7月12日、鎌ヶ谷スタジアムで行われたDeNAとのファーム戦に二番手として登板、二軍とはいえ、3番・戸柱恭孝から始まるクリーンアップを3者凡退に切ってみせた。
「平日の日中だというのに、700人近いファンが入場していました。斎藤の名前がコールされたとき、拍手と歓声がわき起こりました」(取材記者)
3アウト・チェンジでベンチに戻るとき、日本ハムナインは総出で出迎えていた。「愛されている投手」であることが再認識できたが、投げ方がまた少し変わっているように見えた。右膝を折った状態で制止するようなかつての投げ方ではなくなっていたのだ。
今回の復帰マウンドで見せたピッチングフォームは、腕を振る時に若干、上半身が一塁方向に傾いているように見えた。また、ボールをリリースする瞬間、「ウッ!」と声を上げていて、全力投球をしているという雰囲気がスタンドにも伝わってきた。
「球速は130キロ台前半と表示されました」(同前)
それでも対戦打者は、打ちにくそうにしていた。たとえとして不適切かもしれないが、上半身が一塁側に傾いていく投げ方は、草野球のオジサンに近いものがある。
もっとも、斎藤を応援しているプロ野球解説者や関係者のなかには、「直球が打者の手許で微妙に変化している。変化球の球筋はキレイではない。でも、それが武器になる」との声も出ていた。“オジサン投法”も打ちにくさに拍車をかけているのではないだろうか。
「右肘靱帯の断裂が判明したのは昨年秋。手術をしない治療法を選択し、一時は引退も囁かれていました。4月、二軍のフリー打撃に登板していますが、実戦登板まで長く間隔を空けたのは、より慎重にリハビリ続けていくためです。一軍復帰を狙うにはまだ時間が掛かりそうですが、球速はもっと速くなりそう」(同前)
故障する前、斎藤は中継ぎとして二軍戦に登板していた。今後は救援投手として、短いイニングを確実に抑えるスタイルを確立させていくのだろう。球速、球筋、投球フォームは人それぞれ。どんな投げ方でもいいから、このまま「打ちにくいヤツ」と思われれば、一軍復活の日も見えているはずだ。
(スポーツライター・飯山満)