新宿区の飲食店街にネズミが大量出没の怪、コロナ禍の時短営業なのにナゼ?

「昔からこのあたりはネズミがよく出没することで知られていました。とくに4月の新歓コンパのシーズンには、飲食店から出るゴミを目当てに路地をさまようネズミが目撃されたものです。しかし、このコロナ禍でそうした賑わいもなく、飲食店のゴミも減っているはずなのに、ぜんぜん減る気配がないんです」

 東京新宿区の高田馬場に店を構える居酒屋の店主は困惑したように語った。高田馬場といえば、学生でにぎわう街として知られ、緊急事態宣言下では駅前の「路上飲み」がワイドショーなどで頻繁に取り上げられた。現在、駅前の広場は閉鎖され、駅周辺の飲食店は都の要請により、夜8時以降の営業を自粛している。

「4月の緊急事態宣言以降、完全に休業した店も少なくない。閉店して空きテナントになったところも多い。そのぶん、ゴミの量も減ってるからネズミもいなくなるもんだと思ったけどね…」(前出・居酒屋店主)

 ネズミが目撃されるのは駅からすぐの場所にある飲み屋街。昔ながらの焼き鳥屋などが軒を連ね、換気を意識してか、入り口を開放している店も目立つ。6月某日、現地の飲食店を訪ねると、路地に面したテラス席に案内された。ちょうど日が暮れかけた頃、冒頭の証言どおり、チラチラと地面を動く“生物”が目に入る。目を凝らすと、ネズミ。それほどサイズは大きくないのでドブネズミだろうか。人を怖がる素振りも見せずに、堂々と路地を歩いてビルとビルのすき間に入っていく。1時間ほどの滞在だったが、その後も店の前を通るネズミを何度か目撃した。このコロナ禍になぜ? と思うが、この出没エリアでバーを営む男性はこう話した。

「コロナになる前から、このあたりの店はゴミの出し方には細心の注意を払ってきました。とくに春と秋の繁殖シーズンには、ゴミ袋を何重にもして、残り物にありつけないようにしてきましたから。ひとつ言えるのは、昨年からのコロナ禍で駅前の住民が大きく入れ替わったこと。新しく外から越してきた人は、ゴミ出しが雑だったりして、しょっちゅうマンションの管理人から注意を受けているそうですからね。ネズミにとっては、以前よりも“おいしいエリア”になっているかもしれません」

 コロナ禍の飲食不況もあって、駆除業者への依頼も減少傾向にあるという。街一丸となってネズミ対策に本腰を入れるのは、コロナ禍が明けてからになりそうだ。

(倉田はじめ)

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