まさに暴走機関車だ! ワクチン接種の遅延、変異種拡散、緊急事態宣言下の東京で、オリンピックだけがゴリ押しで進められている。「国民の安全」が声高に叫ばれる中、大会スタッフには「日当60万円」もの驚くべき報酬が計上されていた。金満イベントに寄生するボロ儲けマフィアの実態を暴露する!
「昨年3月25日に、東京五輪は1年延期することが決まりました。しかし、その後は何もしていない〝冬眠期間中〟にも委託業者はカネだけむしゃむしゃ食べ続けていたんです」
こう憤りをあらわにするのは、立憲民主党・斉木武志衆院議員(47)だ。
ここに1枚の「委託契約書」がある。その内容は、五輪バドミントン会場となる「武蔵野の森総合スポーツプラザ」の準備・運営の契約書で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)は大手広告代理店と6億2304万円の額面で契約を交わしている。
問題はその驚くべき報酬額だ。斉木議員が入手した「内訳書」には、大会準備業務にあたるディレクター2人が各々40日分で、計2800万円の人件費を計上している。実に「日当35万円」という超お手盛り給与となっているのだ。
「この高すぎる給与について国会で追及したところ、丸川珠代五輪担当相(50)は『詳細で分厚い運営計画書を作るのに大変な労力がかかる』と説明した。しかし、その後に入手した内訳書には、運営計画書を作成するディレクターには『会場運営計画策定業務』として別途25万円の手当をつけていることがわかったのです。通常、運営計画策定と大会準備を行うディレクターは兼務するので、合わせて日当60万円という高額の日当を請求していたことになるのです」(斉木議員)
繰り返すが、月収ではない。日当が60万円なのだ。
スポーツ紙アマチュア担当デスクが説明する。
「いったん組織委員会と話がまとまれば、あとは言い値が通用するんです。この日当も最初は70万円で計上していたところ、さすがに1人の人件費としては高すぎると物言いがついたことで、35万円まで値を落としたという話も出ています」
しかし、呆れたむさぼり実態はこれだけではない。
「契約期間は当初、19年12月からパラリンピックが終わる20年9月までのものでした。しかし、1年延期が決まった後も週3~4人が出勤しているとして、毎月人件費を計上している。もちろん大会直前や期間中は、短期で人を集めるのにお金がかかるのは仕方がないが、準備業務の実態がない期間にも費用を請求しているのは明らかにもらいすぎです。代理店は五輪が延期したことで追加の手当を請求して潤っていることになるのです」(斉木議員)
法外な額で契約の上、延期すれば追加料金。五輪特需を骨までしゃぶり尽くすのが貪欲なイベント会社の本性なのだろうか。
元大手広告代理店社員で、オリンピックと広告代理店の搾取の仕組みを明らかにした「ブラックボランティア」(KADOKAWA)の著者・本間龍氏が説明する。
「国会では、当初はそんな金額は存在しないと突っぱねていた。しかし、この内訳書が出てきたことで言い逃れできなくなり、35万円は1人当たりの人件費ではなく1人のディレクターの配下にいるスタッフを集約したものだと弁明していた。しかし、それならもっと細かい内訳を出さなければならないはずです」
しかし、組織委員会がうやむやにするのは「ある事情」があるからだという。
「そもそもこの書類は、表に出ないことを前提に作られたものなのです。広告代理店は、最初から予算が決まっている場合には、こうしたザックリとした予算書を出すことがあるんです。組織委員会は、開示する必要のない1つ1つの業者との民民契約だと説明している。つまり、後々チェックされてもどういう契約で人件費がいくらなのかわからないようになっていたわけです。もちろん、このバドミントン以外の会場でも、組織委員会は同様の契約を結んでいます。会場運営を担当する代理店はどこもボロ儲けですよ」(本間氏)
東京五輪は計33競技、全42会場で行われる。延期の憂き目に遭うアスリートを横目に、代理店の高笑いは止まらない。