夏場以外は忽然と姿を消す絶景秘境駅があった!

 全国に存在する鉄道駅の99.9%は年中無休で営業している常設駅だが、それとは別に特定の限られた時期にしか乗り降りすることができない臨時駅もある。JR富良野線の『ラベンダー畑駅』もそんな駅のひとつだ。

 この駅は毎年夏場限定で、今年の営業予定期間は7月1日~9月20日(※8月15日までは毎日、以降は土日祝のみ)。全国の臨時駅にはスキー場に直結した『ガーラ湯沢駅』、毎年春先の梅まつりの時期に営業される水戸の『偕楽園駅』など有名だが、これらを含むほとんどの臨時駅は営業していない期間も駅としての機能をそのまま残している。だが、ラベンダー畑駅は毎年わざわざ設置・解体を行っており、シーズン中以外には駅の痕跡すら確認することができないだ。

 同駅の近くには富良野・美瑛エリアの人気観光スポットであるファーム富田があり、毎年夏を迎えると一面に鮮やかな紫色の花を咲かせたラベンダー畑が広がる。テレビやポスターにもよく登場する夏の北海道をイメージさせる風景で、目にしたことがある人も多いだろう。

 ただし、営業期間中も1日20本以上走る普通列車はラベンダー駅を素通り。停車するのは1日3往復の観光列車『富良野・美瑛ノロッコ』だけだ。

 車窓の景色を堪能できるように見どころでは通常より速度を落として運行するため、観光客に人気で同列車の乗車を組み込んだツアーも多数用意している。それでも特急でもなければ指定席も一部なので運賃だけで乗車することも可能。ただし、駅の周辺は農家が点在するだけの田園地帯。通勤や通学で利用する地元乗客はいない。

「この辺はドラマ『北の国から』シリーズの舞台となった地域で、道外の人が思い描く北海道。特にファーム富田はラベンダー以外にもさまざまな色の花が咲いており、まるで花のじゅうたんのよう。普段、植物にあまり興味がない人も感動するはず」(旅行ライター)

 シーズン限定で営業するのは、多くの人に旬の絶景スポットを楽しんでもらうため。全国にはそんな駅もあるのだ

(高島昌俊)

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