今年のセパ交流戦のキーワードは「広島よりも阪神」だ。2021年、交流戦が第2節目に突入した5月28日時点で、セ・リーグ12勝、パ・リーグ8勝2分けという“ハプニング”に…。「パ強セ弱」と言われて久しいが、パ・リーグ各球団は交流戦に対する特別な意気込みを持っているようだ。
「セの人気チームとの対戦によってはコラボ商品のグッズ販売企画を持ち掛けるなど、これまでパのチームは観客動員アップに努めてきました」(スポーツ紙記者)
今季は新型コロナウイルス禍で目立ったピーアールはされていない。しかし、こんな声も囁かれていた。「阪神戦が絶好のファンアピールになる」と――。
コロナ禍に陥る前、つまり、19年まではパ・リーグ各球団は「広島戦」に重きを置いていた。そう、カープ女子に代表される全国区の人気で、営業宣伝をしなくても球場が満員になったからだ。
「今年は間違いなく、阪神戦です。ルーキーの佐藤輝明選手への注目度も高く、久々に『強い阪神』を見せてくれている。阪神も全国区の人気があり、首位浮上によって、カープ女子に押されていた虎ファンがまた表舞台に帰って来たようです」(球界関係者)
佐藤の活躍で、阪神はプロ野球報道の主役に返り咲いた。しかし、パ・リーグの「阪神戦重視」は矢野燿大監督にとっては、あまりありがたくないようだ。
「交流戦最初のカードは千葉ロッテ。ロッテがぶつけてきたのは、開幕投手の二木康太でした。第3戦目には佐々木朗希との対戦となりました」(前出・スポーツ紙記者)
パ・リーグ各球団が阪神戦に力を入れている様子がほかにも伺える。第2節の埼玉西武が初戦にぶつけてきたのは、これまた開幕投手の高橋光成だった。第3節でぶつかるオリックス戦では、2枚看板の一人、山岡泰輔と初戦でぶつかることが予想され、目下売り出し中の好左腕・宮城大弥も2戦目に投げてくる。また、第4節の福岡ソフトバンク戦でも、ローテーション通りなら、昨季の最多勝投手・石川柊太との対戦となる。
「最終カードの東北楽天戦は最悪ですよ。涌井、田中、早川の順番で投げてくると予想されています」(前出・同)
二木、高橋光、石川、涌井とパの開幕投手4人と対戦することになりそうなのだ。パ6球団からエース級をぶつけられるなんて、滅多にないこと。コロナ禍と緊急事態宣言がなければ、大々的に宣伝されていただろう。「阪神の首位快走をストップさせるのは、パ・リーグ」ということになるかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)