「ノンアル披露宴では意味がない」ウエディング会社が取った苦渋の対応とは?

 コロナ禍で大きな打撃を受け続けるウェディング業界だが、一生に一度の結婚式を盛大にあげたい新婚カップルと、感染予防を徹底し安心安全な式を提供したい式場側では、酒類の提供をめぐって、ある攻防が繰り広げられているようだ。

 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されている一部の地域では、結婚式場に対しても酒類提供の取りやめを要請しており、要請下にある多くの披露宴会場ではノンアルコールシャンパンで乾杯が行われている。

 “ノンアル式”にせざるをえない要請に《大親友の結婚式がアルコールなしになった…コロナも、要請出した知事らもゆるさん…》《緊急事態宣言地域外の式場でもアルコール自粛が結構広まってる。主催カップルのことを考えると辛いなあ》と批判的な声もあれば、《お酒なしでも結婚式は楽しめるし感動できると発見があった。ノンアル式全然あり》《新郎新婦をイメージしたノンアルカクテルを式場が提供してくれて、素敵な演出だと思った!》と、要請に従いつつ披露宴を盛り上げようとする式場の努力を評価する声も聞かれる。
 
 ほとんどの披露宴でアルコールの提供自粛が行われる中、例外的にアルコール提供に踏み切った事例もあるという。
 
「新郎がバーを経営していることもあり、披露宴のいちばんのこだわりどころはゲストに提供するワインだというほど、お酒選びに力を入れているカップルがいたのですが、式場側は要請を順守し、酒類の提供はできないと伝えたそうです。しかし『どうしてもノンアルの式では挙げる意味がないから、提供を許してほしい』と新郎新婦が式場に訴え、式場は国からの要請と、酒類を提供したい新婚カップルの板挟み状態になってしまいました。悩んだ末に式場は、新郎新婦の気持ちに寄り添い、酒類を提供することにしたそうです。その代わり、新郎新婦とゲスト達にはある条件が出されました。誓約として、披露宴の様子をSNSにアップすることを禁止にしたそうです。多くのカップルたちが我慢を強いられている中、お酒を提供している様子がネット上にアップされては炎上してしまうと考えたのでしょう。ドリンクメニューは卓上には置かれず、“披露宴のSNS掲載禁止”の誓約とともに事前にLINEでゲストたちに送られたそうです」(ブライダル業者)

 “ノンアル式”がニューノーマルになる日はまだ先のことかもしれない。祝いの日にアルコールが伴うと世間からのバッシングを受けてしまうという現状が悲しい。

(浜野ふみ)

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