「我慢の3連休」はブライダル業界の稼ぎ時!? 新郎新婦に寄り添う生き残り戦略

 全国的にコロナウイルスの新規感染者数が増加する中、日本医師会は11月18日の会見で今週末は「我慢の3連休」にしてほしいと呼びかけた。感染拡大の状況下でそれぞれの過ごし方が問われているが、一方でブライダル業界は久しぶりに盛況の3連休となりそうだという。

「今年の秋の3連休はブライダル業界にとって特別です。そもそも11月は気候が安定しているため、1年の中で1番挙式の数が多い商戦期なのですが、特に今週末は人気なんです。三連休の真ん中の日曜日の11月22日。この日は『いい夫婦の日』とされていて、この縁起の良い語呂合わせにあやかりたいカップルの挙式の予定が詰まっています。さらに今年の『いい夫婦の日』は『大安吉日』なんですね。最近では『大安』にこだわらないカップルも多いですが、『いい夫婦の日』で『大安』、さらに秋の3連休の中日となれば新婚夫婦にとっての好条件が揃い踏み、多くのお客様がこの3連休に殺到していて大忙しです」(ブライダル業関係者)

 久々の盛況に沸く結婚式場だが、決して余裕があるという状態ではない。現在多くの結婚式場が早期挙式に躍起になっている。

「多くの式場が今必要としているのがキャッシュです。式場は維持するだけでもかなりの金額がかかり、従業員への給料の支払いなどの負担も重くのしかかります。さらにコロナの再拡大により、再び休業状態に陥ってしまうのではという不安もあり、コロナの影響で財政状況がピンチにある式場としては少しでも多くの現金を確保しておきたいという思いが強くあります。結婚式は祝儀を支払いに充てるため後払いをするというカップルも多く、また未消化の式が多くあると予約も受け付けづらい状態になるため、できるだけ早期の挙式を実現したいというのが多くの式場の腹の内でしょう」(式場関係者)

 式場も早期に式を挙げてもらうための対応を取っているようだ。

「コロナ感染を懸念するカップル達の心配を払拭するために各社さまざまな対策を取っていますが、このコロナ禍において一生に一度の結婚式に踏み切るのは大変ですよね。しかし新郎新婦にとっても、業界にとってもいつまでも延期というわけにはいきません。先行きがわからない中で挙式の予定を立てるというのは大変なことですが、式場によっては延期の式を年内に挙げるならば延期料を取らない、格安で済ませるなど経済的にも新郎新婦に寄り添った形で案内を進めているところもあります。延期が続いてしまうと会場の存続にも関わりますからね。そういった事情からも、今年の11月は土日に限らず、平日の予約も埋まりつつあります」(プランナー業の男性)

 今回取材した関係者が口をそろえて訴えたことは「コロナ禍でも安心して挙式を挙げられるということが広まってほしい」ということだった。

 食事や記念撮影などの際に口元を隠しつつ華やかに映える、おしゃれなウエディング用マウスシールドがトレンドになるなど、ブライダル業界は“新しい様式”でコロナ禍に立ち向かおうとしている。

(浜野ふみ)

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