名古屋の名城・名古屋城はもちろん「金のシャチホコ」で有名だが、実はこの時期、都心部近くにありながらその外堀はホタルの名所となる。
「市役所や県庁が隣接し、名古屋高速都心環状線が走るすぐ脇に城の外堀があるのですが、逆にそんな場所なのでひっそりと草木が生い茂る静かな環境にあって、毎年5月中旬から下旬ころまでは多くのヒメボタルが観察できるスポットになっています。しかもそれが、例年は2000〜4000匹が観測されるところが昨年は1.5倍の6000匹が観測されて、今年も多くのホタルが観測されるだろうと考えられているんです。原因はコロナの影響ではないかとされています。人が外出を控えるようになったことで、よりひっそりと自然が守られるようになったからだと言うわけです」(週刊誌記者)
人間社会はコロナで大わらわ。一方、人が動かなくなったせいで自然界にとっては好影響というのだから皮肉なものだが、コロナで世界中がステイホームを強いられたことで環境が改善したという例は昨年からも様々報告はされていた。中国では名物だったスモッグが街中から消え、ボートが減ったベネチアでは緑色に濁った水が透明になり。人間が消えた代わりに、ウェールズではヤギが街中を歩き、日本でもシカが地下鉄にまで現れた、等々……。2020年の化石燃料によるCO2排出量は、世界全体で7%減少した数字だったと推計もされている。
と聞けば、環境面での影響は良いことずくめのように思えるのだが、生き物にとっての生息環境が良くなれば、それは当然人間にとっての“天敵”にも等しく当てはまるもので……。そう、あのゴキブリも増えているのだ。
「悪環境に強いゴキブリの場合だと事情は少し異なり、ステイホームで人間が家にいることで逆にエサが豊富になったせいで、害虫の駆除業者によっては昨年は例年の2倍以上の依頼が舞い込むといった状況にありました。ゴキブリだけではなくステイホームでの換気の必要性から虫が室内に飛び込んできたりするので、アース製薬やフマキラーといった虫ケア用品の会社は好調です。これらの会社は除菌や洗浄といった日常生活のケア用品も扱っていますからね」(経済ジャーナリスト)
ホタルは良くてゴキブリは良くないというのも勝手そのものだが、ニューノーマルやステイホームで家にいつつもやはり人間の勝手で環境を破壊しているという。
「買い物袋の有料化で急いで脱プラスチックを急いでいる一方、2020年のプラゴミ排出量はこの10年で最多を記録しました。また、マスクが川に流されて海に流れ着くことで海洋生物への悪影響も指摘されています」(前出・ジャーナリスト)
どこまで行っても人間のエゴは業深いようだ。
(猫間滋)