昨年来、こけしブームが続いている。東北地方で江戸時代に始まった伝統工芸品だけに、実にブームも第3次を数える。現在は、“こけし女子(こけ女)”と呼ばれる熱心なファンも現れ、各地のこけしイベントに顔を出す女性も多いという。
そのせいか、ヤフオクでの取引価格もハンパないことになっている。例えば、津軽のこけしが1体だけで3万5000円。コレクターがまとめて放出するセットであれば10万円以上の値がつくこともある。
自称“こけ女”のライターが話す。
「温泉地の土産物屋などで販売されている置物というイメージがありますが、起源も諸説あるほど、こけしの世界は奥が深いのです。いわゆる伝統こけしとなると、東北各県に南部系、遠刈田系など11系統のこけしがあります。それぞれ技法や表情、染色などに異なる特徴があり、各系統の工人が今も活躍中です。オークションで高値取引されるのは、その伝統こけしの中でも、戦前の工人が作ったものが多く、美術商に芸術品として扱われているこけしもあるぐらいです」
中には驚愕の高値となることもある。山形県の肘折系の工人、奥山運七が戦前に製作したこけしが、かつてヤフオクに出品された際、最終的な落札価格は300万1000円となった。こけし1体だけで新車並みの価値があるのだ。
我が家の片隅にホコリをかぶったまま放置されたこけしも、もしかして‥‥。