加害者は21歳女性、年の差ストーカー事件に見た被害者の「NG行動」とは?

 なんと不可解な事件が起こったものだ。

 奈良県警奈良署は2月12日、かつての同僚女性に293回に渡ってSNSで卑猥な画像やメッセージを送り、さらに職場に押しかけたとして21歳の女性Aをストーカー規制法違反の疑いで逮捕した。この女が恋心を抱き、メッセージを送りつけていたのは、なんと50歳以上年が離れた72歳の女性。《〇〇さんに激しく舐められたい》《音を立てながらペロペロされたい》《指を入れて!》といった文章に、自撮りしたバストや下腹部の写真が添付されていたという。

 前代未聞のストーカー事件の異様さを受け、新聞各社も紙面を割いて報道。詳細を報じた日刊ゲンダイDIGITALによれば、被害女性は「メールぐらいだったら、私が我慢すればいいの」と事を荒立てることなく放置。しかし、被害女性の仕事が休みだった今年2月、突然、A容疑者が勤務先に現れたと聞き、恐怖を感じて警察に相談。今回の逮捕につながったという。

 被害女性は昨年6月にも、警察にストーカー被害を訴え、警察が女に口頭で注意したというが、やはり感情を抑えることが出来なかったのか、徐々に行為がエスカレート。

「2人は県内でよく知られる料亭の同僚で、72歳の女性は接客の責任者だった。そこへAが新入りとして勤めはじめ、被害女性が叱咤激励する中、それが恋愛感情に繋がったのではないかと見られています」(全国紙社会部記者)

 取り調べに対し女は「母親からの愛情不足で育ち、親身になって優しく教えてもらい、好きになった。好きで甘えたい気持ち」(日刊ゲンダイDIGITALより引用)から過激な行動に走ったと供述しているが、祖母と孫ほど年が離れた女がストーカーに豹変することなどあるのだろうか。

 犯罪心理に詳しいジャーナリストが解説する。

「ストーカーに年齢は関係ありません。ストーカーになりやすい人は、客観的視点が持てず、相手を思いやる気持ちよりも自分の欲望を優先してしまうため、思い通りになるまで相手を追い詰めてしまう場合が多いんです。とはいえ、本人は『ただの愛情表現』『相手に自分の存在を知ってほしいだけ』と思っている。そして、ストーキング行為だと気づかずに突っ走ってしまうというケースが多いんです」

 報道によれば、72歳の女性は「事を荒立てたくない」という気持ちから、メールが届いてもそれを無視していたそうだが、前出のジャーナリストによれば、

「頻繁に嫌がらせメッセージやコメントが届いている最中に連絡を遮断するのは実は危険で、ストーカー女は、拒絶されることに恐怖心を覚える傾向があります。そのため、相手が無視して、全くリアクションがないと大きな不安に襲われて、直接会いに来たりするわけです。行動をエスカレートさせないためには、いきなりブロックや着信拒否などはせず、やり取りを記録したうえで警察に相談すること。『自分で何とかしよう』『自分がガマンすれば…』というのが一番のNG行為。やはり警察に頼るのがベストな防御策といえるでしょう」

 ストーカー犯罪は若い女性が被害者とは限らない。逮捕された女は拘置所の中で何を思うのだろうか…。

(灯倫太郎)

※写真はイメージです

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