クラシック演奏会で男性受刑者が欲情!? 知られざる「慰問コンサート」の実態

 刑務所暮らしを送る受刑者が、更生するにあたって心の励みにしているのが有名人の慰問活動だ。杉良太郎や“刑務所のアイドル”と呼ばれる女性デュオ・ペペが知られているが、ボランティアで慰問を続けているのはこうした有名人に限らない。

「刑務所にやってくるのは有名歌手だけではありません。音楽事務所が善意で開いてくれる音楽会は受刑者にとって心の癒しになっています」

 こう話すのはウン10年の服役歴を持つAさん。そのクラシック演奏会の内容を聞けば、

「毎年、バイオリン奏者がやってきて演奏してくれます。クラシックなんてシャバでも聴いたことがないので、大半の受刑者がその音色に感動するんです。しかし、なかには不届きな受刑者もいて、彼らが注目するのは音楽だけではなく女性そのもの。日頃は男しかいない世界に身を置く受刑者たちにとって、ナマの女性を見るのは至上の喜び。ヴァイオリニストたちはけっこう胸の開いたドレスを着て登場するので、それだけでも、会場となる体育館では生唾を飲み込む音があちらこちらから聞こえてくるんです」

 時には素人の女性たちのコーラスグループも慰問が塀の中を訪れて、生歌を披露してくれるという。

「女性の生声を聞くだけでもこっちはうれしくなるものです。エーデルワイスを聞きながら、頭の中ではこんな声を出すんだろうなとか、そんな卑猥な妄想ばかりみんなしていますよ。歌ももちろんいいですけどね。終わってからは他の受刑者と『左端の女が可愛かった』とか『真ん中の50歳くらいのマダムがドンピシャだった』とか、そういう話で盛り上がりました」(元受刑者Aさん)

 ボランティアで慰問に訪れた女性陣が気の毒になってくる話だが…。同じように塀の中で女性音楽家の演奏会を見たことのある元受刑者のBさんはこう語る。

「音楽会のあとは感想文を書かなければいけないのですが、『ヴァイオリニストが昔の女に似ていた』とか、『もう少し胸元の開いたドレスを着てほしい』とか、『チャイナドレスで演奏して欲しかった』とか、およそ演奏とは関係のない要望ばかり書く人が多いですね」

 音楽界の大御所が訪れることもあったそうで…。

「昨年に亡くなってしまいましたが、服部克久先生が来たときは、多くの受刑者たちが感動していました。ただ、難解な音楽に頭を抱える者もいましたね。音楽のレベルが高すぎて、受刑者に聴かせるにはもったいないですよ。でも、亡くなる直前まで刑務所でコンサートを開いてくれたのは、それだけ自分たちの更生を願ってのことなのでしょう」(元受刑者Bさん)

 慰問にはさまざまな形があり、ミュージシャンばかりではない。セミ有名人たちも気合十分で受刑者を前にステージに立つ。

「青空応援団という民間の応援団が来たときは、こんなところで応援団がなにをしに来るんだとみんな思っていました。最初の団長の話はちょっと退屈でしたが(笑)、最後に私たちを応援するというパフォーマンスになって見方がすべて変わりました。10名あまりの団員が、大太鼓の音に合わせ、『フレーフレー受刑者、フレーフレー受刑者』と何十回も声を張り上げると、会場は感動に包まれましたね。涙を流す者もいました。社会にいる頃から鼻つまみ者扱いをされてきた私にとって、『頑張れよ』と大声で応援されるのは初めての体験だったんです。『こんな俺でも応援してくれるんだ』と思ってみな感動しました」(元受刑者Bさん)

 大物芸能人から応援団まで訪れる慰問。受刑者たちは慰問に来てくれるだけでもありがたいと思っている。

(月見文哉)

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