2月4日、関東地方では1951年以降、最も早く「春一番」が吹いたと発表された。とはいえ、2月といえば年間で最も寒い時期。ところが、意外にも2月は日焼け止めや制汗剤など、夏アイテムの売れ行きが一気にアップする時期なのだという。
健康関連雑誌のライターが語る。
「一般的に紫外線というと、夏をイメージする方が多いのですが、当然、冬の日差しの中にも紫外線は含まれています。しかも、雪が積もる地域では雪による照り返しで、紫外線量は2倍以上になると言われています。加えて、夏は真上にあった太陽が、秋から冬にかけて位置が低くなり、室内にいてもまともに陽の光を顔に浴びやすくなる。つまり、顔部分の紫外線ケアという点では実は冬にこそ、日焼け止めが必要というわけです」
そんなニーズを反映するかように、2月に入り、日焼け止めの売り上げが全商品の4位にランキングされたこともある。
「これは市場調査やマーケティングを手掛けるリサーチ会社が2012〜2018年に行った全国の調査データをもとに、2月に売り上げが伸びる商品について集計したものですが、日焼け止めが4位、制汗剤が20位にランクインし、我々もビックリしたことがあります」(前出・ライター)
日焼け止めや制汗剤など、夏アイテムは北海道など寒い地域から売れ始め、それが徐々に南下してくる傾向にあるという。
そして、紫外線問題だけではなく、あまり知られていないが、2月は急激な温度変化で熱中症になるケースも多い季節なのだという。
「『春一番』というのは、冬の冷たい空気と南から押し上げてくる暖かい空気とがぶつかり、日本海上で低気圧が発達、低気圧に向け暖かい南風が強まって起こるものです。そのため春一番が吹くと、最高気温が20℃を超える場合もあります。実は、そんな急激な温度変化に身体がついて行けず、気がつくと熱中症になっていたというケースが少なくないんです」(前出・ライター)
人間の体は、外気温に対応して体温を一定に保つようになっている。そのため、夏場は暑さに対抗し、体内で作り出す熱を減らして体温の上昇を防いでいる。
「だから、夏場は副交感神経が優位になり、心臓をなるべく動かさないよう、省エネモードになっているんです。逆に冬の間は、交感神経が優位になり、寒さに対抗して体の中で作り出す熱を増やすことで体温が下がらないようにしています。そんな時、昨日まで一桁だった気温が、いきなり15度上がったらどうなるか。寒さに慣れた体には、同じ20度でも身体が感じる暑さは全く異なり、結果として自律神経が乱れてしまいます。そんな状態でさらにマスクをつけてランニングをしたら……。熱中症になる条件がすべて揃ってしまうわけですからね。つまり、春一番が吹いた後の、今の時期は、紫外線だけでなく、熱中症のリスクが高い時期だということです」
寒い日と暖かい日が交互に訪れながら、冬から春になることを「三寒四温」と言うが、実はそんな時期にこそ、体調管理ならぬ“体温管理”に気を配るべきかもしれない。
(灯倫太郎)