昨春のコロナ禍以降、人と人との密な接触を売りにしてきたお水系やピンク業界は軒並み売り上げ減の憂き目にあっているが、そんな中でも好調ぶりが伝えられるのが「メンズエステ」だ。
ここで言うメンズエステとは痩身や脱毛といった美容系のそれではなく、マンションなどの個室で女性セラピストが行う、リラクゼーションを目的としたものを指す。ここ5年ほどで都市圏を中心に店舗数・顧客が増加傾向にある同業態だが、人気の理由は何なのだろうか。
「ピンク店ではないため、いわゆる“下のサービス”はいっさいナシとされていますが、ホームページでは『密着』『ドキドキ』といった単語で暗に艶っぽさを匂わせている艶系のメンズエステも少なくありません。男性客は面積の少ない紙製のアンダーウェア一丁、施術場所がマンションの一室ということもあり、鼠径部へのマッサージの際にイケナイ部分に触れてしまうのはもはやお約束となっています。その場で何が行われるかは当人次第という状況下で、交渉次第でどこまでいけるかを試す行為は、“夜のクラブで女のコをオトす”感覚に近い部分があります」(情報誌ライター)
このご時世、一般的なピンク店でも、女性スタッフの検温やPCR検査、アルコール消毒の徹底など、コロナ対策が取られているものの、どうしても“濃厚接触”というイメージがつきまとう。その点、キスなどの対面サービスがないメンズエステならば、感染リスクを最小限に抑えながら女性とのコミュニケーションが楽しめ、「あわよくば…」という期待も持てるというわけか。
昨年の夏ごろから週に一度はメンズエステに通うようになったという常連の40代会社員によれば、
「チェーン展開するメンズエステ店でも、指名数はそのまま給与や待遇に反映されるらしく、セラピストの女性も指名を取るのに必死ですよ。禁止されているピンク行為を行っている女性も多いと聞きます。自分の場合はせいぜいこっそり店外で食事デートを楽しむくらいですが…。もっとも、60分で1万円以上する料金設定から、ピンクサービスありきでやってくる男性客が後を絶たないとか」
とはいえ、グレーなサービスに手を染めるセラピストはごく一部のようで…。
「セラピストは性的なことはいっさいお断りという、プロ意識の高い女性が大半を占め、その一方で、容姿が整っている割には男性慣れしていない女性が多いのもポイント。あくまでマッサージの腕で勝負するセラピストや、会話力で人気を集めるセラピストなど、さまざまな魅力を持った女性が流入しているのが現状です。施術場所が大人の歓楽街の雑居ビルなどではなく、駅前やオフィス街のマンションというのも、男性客の心理的ハードルを下げる要因になっているのではないでしょうか」(前出・情報誌ライター)
人との接触が制限されている昨今、人目を忍んで女性とのふれあいを求める男性の心理状態は想像に難くない。メンズエステ業界の躍進は続きそうだ。
(穂波章)