小池都知事の責任を問う声も…千代田区長「退任」で残した爪痕

 もともと政治家としてのソリが合わず、コロナ対応でもたびたび対立してきた菅義偉首相と小池百合子東京都知事。今回の緊急事態宣言をめぐっては小池都知事が発令を要請、それを受けてようやく菅首相も重い腰を上げたものの、周囲からは「遅きに失した」の大合唱で、「なかなか決断できない総理の背中を小池都知事が押した」という形になって、小池都知事としては、してやったりの心境だろう。

 また、東京五輪開催や9月までの総裁任期、10月の衆議院の任期満了といった政治スケジュールとにらめっこしながら、「菅下ろし」の動きが顕在化しているとあらゆるメディアが報道。菅政権に早くも末期感が漂っている。

 では一方の小池都知事は盤石なのかと言えば、足下では悩ましい問題がつきまとっていた。

「年が明けての1月4日、千代田区では任期満了に伴う区長選挙とこれに伴って行われる区議の補欠選挙を24日告示、31日投開票とするとしましたが、この選挙の行方が気になっていたのです」(都政関係者)

 どういうことか。

 昨年千代田区では、区長が一般販売されない億ションを業者から優先販売されていたとされる、「千代田区長のマンション問題」が起こった。議会はこれを追及しようとしたが区長は議会を解散。これを巡って区長と議会が対立したり、区長の責任そのものを問う百条委員会が立ち上がり、その過程で訴訟沙汰になったりと、そのドタバタぶりが連日メディアで報道された。さらに、東京メトロとの合意がないまま、区営住宅と地下鉄駅を直結する地下工事に6億円の“無駄金”を費やしたとの報道も飛び出している。そしてこの石川雅己区長こそが小池都知事の側近と言われていた人物だからだ。

「前回の2017年の都議選では、小池氏率いる都民ファーストの会が旋風を起こしたことで記憶に新しいと思いますが、それと同時に、小池氏と自民党の対立、中でもそれまで都議会のドンとして君臨していた内田茂・元都議との対立もわかりやすい対立構造として報道されました。その内田氏の地元が千代田区で、ここで争われた代理戦争の小池氏側の候補が石川区長だったからです」(前出・都政関係者)

 いわば石川区長は小池旋風の落とし子。その“禊”がかかった選挙に注目が集まっていたが、1月8日に不出馬と退任の意向を示した。本来は小池氏サイドの責任も問われかねないのだが、小池氏はこの問題には静観の姿勢を貫いていた。

 今年は7月に任期満了に伴う都議選も控えている。菅総理同様、東京五輪の趨勢いかんでいくらでも不利になりそうな情勢にある。難題山積で、2人とも緊急事態宣言を巡るつばぜり合いに興じている場合ではないのだが。

(猫間滋)

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