アニメ史に残る大事件!「サザエさん」史上初の“5連続パー”はなぜ起きた?

 不死身のスナイパーを描いた国民的漫画「ゴルゴ13」が連載スタートから52年の歴史ではじめて休載したかと思えば、2020年6月27日に予定していた「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開が翌年1月に延期されるなど、新型コロナの感染拡大は漫画・アニメ業界に大きな影響を及ぼした。

「近年、漫画の制作はデジタル化が進んでいて、背景などの仕上げをオンラインでアシスタントに発注するなどして、一人で作業を進める漫画家さんは少なくありません。その点、さいとう・たかを先生の『ゴルゴ13』は10人を超えるスタッフが仕事部屋にこもって作業するため、どうしても“密”を生みやすい。あの『週刊少年ジャンプ』も4月20日に予定していた2020年20号を延期しましたし、スタッフを守るためには賢明な判断だったと言えます」(エンタメ誌ライター)

 国民的アニメ「サザエさん」(フジテレビ系)も制作に支障をきたした。なかでも複数の声優がスタジオにこもってセリフを発するアフレコは、3密になりやすく、4月から収録を中断することになったという。結果、2020年5月17日から6月14日までの放送分が再放送に差し替えられた。これは1969年にアニメの放送が始まって以来2度目、45年ぶりの出来事だった。

「前回の再放送への差し替えは、1975年のオイルショックが原因。物価の高騰で国内が大パニックに陥るなか、作画用品の不足や製作費がかさんだことなどで新作を作るのが困難になったと言われています。コロナ禍での再放送で注目が集まったのは、サザエさんのじゃんけん。45年前はまだ次回予告の後でじゃんけんはしていませんでした。ところが、およそ30年続くじゃんけんに関しては、新たなものを放送するとあって、アニメファンはホッと胸を撫でおろしたのですが…」(アニメ雑誌編集者)

 そこでアニメ史に残る“大事件”が起きる。再放送期間に突入する直前の5月10日放送回のエンディングでサザエさんが出したのはパー。その後の再放送期間に4連続でパーを出したことから、5連続パー出現という激レア現象が発生したのだ。このじゃんけんの分析・研究を続ける「サザエさんじゃんけん研究所」が《1,439回目にして初の5連続同じ手》とツイートして、日本中に知れ渡ることとなった。5連続パーは再放送によるアクシデントではなく、制作サイドが意図したものとの見方が大勢を占めている。パーの手を5回続けた理由について、都市伝説などに詳しいフリーライターはこう話す。

「ある心理学者の調査によると、怒ったりイライラしている人はグーを出しやすい傾向にあるそうです。反面、パーが表すのは寛容性や穏やかな心理。『サザエさん』が再放送に切り替わった5月には、“自粛警察”や“他県ナンバー狩り”といった人と人がいがみ合うようなニュースが世間を騒がしていましたからね。そうしたギスギスした国民感情をやさしく包み込むために、サザエさんがパーを5連続で出したとは考えすぎでしょうか」

 国民的キャラクターの新年最初の“一手”も注目を集めそうだ。

(あまねかずこ)

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