「タコですわ!」の暴言も…ベテラン記者が選ぶ「NHK紅白」3大事件とは?

 新曲がミリオンセラーを達成したアイドルグループ「AKB48」のまさかの“落選”やメジャーデビュー前のグローバルガールズグループ「NiziU(ニジュー)」の初出場決定など、今年も放送前から話題を集めた「NHK紅白歌合戦」。

 1951年の放送開始以来、今年で71回目を数える歴史ある大型歌番組だけに、これまでもさまざまな事件が視聴者を仰天させてきた。

 そこで、長年にわたって「紅白」を取材し続けているベテラン芸能記者X氏に「NHK紅白歌合戦事件簿 BEST3」をピックアップしてもらった。

3位 TOKIOの長瀬智也がジャニーズタレントとしては異例の交際順調宣言(2010年)

 「紅白」の取材では、リハーサル後の囲み会見など普段は滅多にメディアの取材に応じない大物アーティストが報道陣の前に姿を現すことでも知られている。

 また、スポーツ紙や一部女性誌など日頃から良好な関係を築いている御用メディア以外にとっては、「SMAP」や「嵐」などジャニーズ事務所の人気タレントを直接取材できる数少ない機会でもある。

 そうした中、事件が起きたのは2010年のこと。

 もともと、売れっ子芸能人らしからぬ気さくな性格で知られ、ジャニーズタレントの中でも「マスコミ好感度ナンバー1」と言われたTOKIOの長瀬智也が、当時一部で熱愛報道があった女優の相武紗季との交際について「交際は順調?」と聞かれて、「はい、順調です」とキッパリと答えたのだ。

「確か一部の報道陣が、現場でマスコミの動きに目を光らせていたジャニーズ事務所の担当者のガードをかいくぐり、一瞬のスキを突いて本番直後の長瀬さんを直撃取材したと記憶しています。当時の彼女のことを思ってか、まったく隠すつもりもなく、嫌な顔一つ見せずあっさりと交際を認めた長瀬さんに男気を感じましたね」(芸能記者X氏)

 ジャニーズタレントとしては異例の交際宣言は「紅白」の現場で生まれた。

2位 吉川晃司がギター炎上&破壊の暴挙(1985年)

 近年もアイドルグループ「欅坂46」のメンバーがパフォーマンス中に過呼吸で倒れるなど、「紅白」のステージでは予想外のハプニングも多いが、中でも衝撃度ナンバー1と言っても過言ではないのが85年の吉川晃司によるギター炎上事件だろう。

 この年、初出場で「白組」のトップバッターを務めた吉川晃司は真っ赤な衣装で登場し、「にくまれそうなNEWフェイス」の曲中にはシャンパンを口から撒き散らすなど、過激なパフォーマンスを展開。さらに、歌唱後には自らギターにオイルをかけて火をつけて燃やし、ステージに叩きつけて破壊するという暴挙に。

 その結果、次の歌順の河合奈保子の歌い出しやその後の「シブがき隊」のパフォーマンスにも影響を与えたほか、吉川本人もしばらくの間、NHKを出入り禁止となった。

「吉川さんはリハーサルでは一切そのような素振りは見せていなかったことから、確信犯的な暴挙だったと思います。当時の吉川さんは芸能界や音楽業界に対して思うところがあったようですが、後日に『すべてが裏目に出てしまった』と反省する一方で、『墓場まで持っていかなければいけない、言えないことがまだある』とも話しており、いまだに謎の多い事件です」(芸能記者X氏)

1位 長渕剛が17分の大暴走で電波ジャック(1990年)

 栄えある(?)第1位に輝いたのは、90年の長渕剛による前代未聞の大暴走だ。

 この年、初出場した長渕は10月に東西統合を果たしたドイツ・ベルリンから衛星生中継で出場。

 生中継が繋がり登場した長渕は、いきなり「こちらに来ましたら現場仕切ってるのみんなドイツ人でしてね。ともに戦ってくれる日本人なんて一人もいませんよ。今の日本人、タコばっかりですわ!」と暴言を放ち、司会者や他の出演者を戸惑わせた。

 さらに、当初は10分の出演予定だったにもかかわらず「親知らず」、「いつかの少年」、「乾杯」と3曲を17分半近く熱唱。

 この大暴走により、放送時間の関係から以降の出演者は歌唱時間を大幅にカットされたり、応援合戦が中止になるなど急遽のプログラム変更を余儀なくされた。

「長渕さんは現場の段取りの悪さにかなり頭にきていたようですが、だからと言って持ち時間を無視した暴走は許される行為ではない。他の出演アーティストに被害を及ぼしたという意味においては吉川晃司さんも同じですが、程度が違いますからね。長渕さんは1部のトリを務めていた関係で、北島三郎さんや森進一さん、五木ひろしさん、和田アキ子さんら2部に登場するほとんどの大先輩たちに迷惑を掛けた。中でも、植木等さんは『スーダラ伝説』の歌唱時間を半分以下にまで減らされましたからね。長渕さんが熱唱する中継映像を苦虫を噛み潰したような表情でにらんでいた大御所演歌歌手の顔が今でも忘れられません」(芸能記者X氏)

 今年はコロナ禍の影響で初の「無観客」で開催される。それ自体が大事件とも言えるが、果たしてベスト3を塗り替える事件は起きるか!?

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