大谷翔平「復帰」でも盛り上がらないエンゼルスのチーム事情

 大リーグ・エンゼルスのビリー・エプラーGMが16日、昨年10月に右肘靭帯手術を受けた大谷翔平のメジャー復帰を明言した。マイナーの試合に“リハビリ出場”という手順を経ず、ぶっつけ本番でメジャーの打席に立つ予定。5月7日(現地時間)のタイガース戦が有力視されている。

 大谷は現在、本拠地アナハイムでリハビリを行っている。3月27日に打撃練習を再開、12日からはマシン相手に速球を打ち込み、今後は投手相手の実践練習に入るという。

 これまでブラッド・オースマス監督ら首脳陣は、大谷の復帰について「無理をさせない」「急がせない」と話し、快復状態を心配する声もあったが、軽々と柵越えを連発するフリー打撃を見てGOサインとなったようだ。

「ただそれは、あくまで『打者・大谷』として。投手としてのリハビリは最長50フィートのキャッチボールを始めたことが伝えられるぐらいで、まだまだ時間がかかりそうです。靱帯移植のトミージョン手術を受けた野球選手はたくさんいますが、二刀流は初めて。DHとして打席に立ちながら、投手のリハビリを同時にやることになるので、予断は許しません。手術箇所に痛みが出たりしなければいいのですが」(在米ライター)

 球団が大谷の早期復帰を決めた背景には、こんな理由もあるという。

「エンゼルスはア・リーグ西地区で最下位に沈んでいます(4月17日時点)。大谷の戦線離脱も大きいが、オフの補強が失敗したと見るべき。打線はマイク・トラウト一本かぶりで、ファンの応援熱も徐々に冷め気味。興行的にも大谷には1日も早く復帰してほしいところでしょう」(同前)

 前半戦で優勝圏内から脱落したチームは、来季に向けて動き出すのが、メジャーリーグの慣例だ。主力選手を放出し、若手選手を補強してチームを入れ換えるのだが、打者・大谷が復帰する頃にはエンゼルスも来季に向けて動き出している可能性もある。

 シラケムードの中での復帰戦とならないように、せめて最下位から脱出してもらいたい。

(スポーツライター・飯山満)

スポーツ