現在、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために世界中の多くの国が実施している入国規制。その代表的なものが感染していないことを示す「陰性証明書」の提示だ。
これを義務づけている国に行く場合は出国48時間、ないし72時間以内の検査が必要。現在、検査の種類はPCR検査、抗原検査、抗体検査の3種類があるが、国によって検査の種類を指定しているところもある。ただし、日本でも一般的な検査方法で、最も精度が高いとされているPCR検査であれば問題はない。
だが、現在各国で問題となっているのが「偽造検査証明書」の存在。日本だと証明書発行を含めた検査費用の相場は3〜4万円。出張や赴任といった商用の渡航であれば会社が負担してくれるが、ビジネス以外の目的や個人での渡航となると自己負担する必要がある。「渡航目的の検査の場合、多くの国では検査費用が高い傾向にあり、払う側にとって大きな出費です。偽造検査報告書の発行はそこを突いた新しい闇ビジネスで、コストは紙代とインク代程度。正規の検査料金より安くしても十分すぎるほどの儲けが期待できます」
偽造ビジネスのヤバすぎる実態を明かすのは、海外の犯罪事情に詳しいジャーナリスト。実際、11月にフランス・パリでは偽造証明書を販売するグループが逮捕されたが、彼らは1通180〜360ドル(約1万9000円〜3万8000円)で売っていたという。
「国によっては医療従事者が検査せずに証明書を発行しているとの噂もあります。出国時には航空会社のチェックインカウンター、入国時には検疫や入国審査で提示を求められますが見極めるのが大変難しいと言われています。入国時に空港で検査を実施している国も少なくありませんが、これは偽造証明書での入国を防ぐ目的もあるのです」(前出・ジャーナリスト)
今後、国をまたいだ人の行き来が増えれば、同様の手口で入国を試みる連中も増えるだろう。コロナの世界的な感染拡大を抑えるためにも、偽造証明書による不正入国者の取り締まりを今以上に強化すべきだろう。
(トシタカマサ)