国内の雇用情勢にも深刻な影響を及ぼしている新型コロナウイルス。厚生労働省はコロナ関連の解雇や雇い止めに遭った人が11月6日時点で7万人を超えたと発表。
しかも、大変なことに求人数も激減しており、10月末に発表された「職業安定業務統計」(厚生労働省)によると今年9月の全国の有効求人倍率(季節調整値)は1.03倍。昨年11月から0.54ポイントのマイナスで、求職者有利の売り手市場は完全に崩壊してしまった。
なかでも求人が特に少ないのが沖縄県。これまで雇用の受け皿となっていた観光業が大打撃を受けたこともあり、有効求人倍率は全国ワーストの0.64。わずか1年でほぼ半減と、転職や再就職が困難な状況になっている。
全都道府県のうち、全体の3割に相当する14の地域が1.0倍を割り込んでおり、ワースト2位の神奈川県をはじめ、4位千葉県、5位埼玉県と東京都を除く首都圏の各県がランクイン。
その一方で有効求人倍率の上位3県は、福井県は1.44倍、岡山県1.38倍、島根県1.3倍といずれも地方。それでもコロナ前に比べると大幅に下がっているが、数字の上ではまだ踏みとどまっていると見ることもできる。地方でも地域によって雇用情勢には格差があり、一概に地方だから仕事が少ないというわけではないようだ。
だが、有効求人倍率は今後もしばらくは下落が続くと見られている。リーマンショック後の2009年5月に記録した過去最低の0.32に匹敵、あるいはそれを下回ると予測している専門家も多い。実際、大企業も次々と大規模な希望退職者募集を打ち出しており、年齢的にその対象となるであろうアラフィフ以上のサラリーマンは他人事ではないはずだ。
完全失業者数は8カ月連続で増加を続けており、その数は約210万人(※2020年9月時点)。ここにきて感染者数の急激な増加傾向も心配だが、コロナによって職を失う人もそれに負けないペースで増え続けている。
コロナが沈静化しなければ経済や雇用も先が見えてこないため、1日も早い収束を祈るばかりだ。