BTS、SEVENTEEN、BIGBANG、TWICE、少女時代をはじめ、今や世界中を席巻するK-POPアイドルグループ。日本のオリコンチャートやアメリカのビルボードチャートでも1位を獲得するほどの人気っぷりだ。たとえば、BTSのツイッターのフォロワー数は3000万人超と、その数は一国の人口に匹敵する。
そんなK-POPの動画はSNS上でも広く拡散されている。しかし、一部ではその拡散の仕方が、無関係の内容でバズったツイートのリプライ欄に動画のリンクが脈絡もなく貼られたり、トレンドワードがタグ付けされた状態でK-POP関連のワードがツイートされたりなど、言わばスパムのように“無差別投下”されているのだ。
誰が何の目的で投稿しているのか、大手ネットメディアの政治記者が解説する。
「調べてみると、SNS上で見られるK-POP関連のスパムメールのほとんどは、中南米のユーザーたちのアカウントから投稿されているようです。K-POPファンは中南米にも多くいますからね。なぜ彼らがこんなことをするのかといえば、バズツイートに無差別投下すれば、動画投稿サイトに無断掲載している映像の再生数が上がって広告料が入るため儲かるということと、K-POPを布教(宣伝)することができるから。K-POPファンは狂信的なことでも有名ですから、一人でも多くの信者を取り入れたいのでしょう」
その一方で、K-POPファンが広めようとしているのはアーティストのビジュアルや音楽性だけではないという。
「ファンの多くは政治意識が高くリベラル寄りと言われているため、反人種差別運動や政治の世界にも大きな影響を及ぼします。今年6月にも、アメリカの保守政権だったトランプ候補の選挙集会に、100万人規模のK-POPファンがトランプ支持者を装い、参加の申し込み予約を行いましたが、そのほとんどがドタキャンしたため当日はガラガラだったと言われています。トランプ政権は不法移民の流入を防ぐことを目的に『国境の壁』の建設をブチ上げるなど、中南米諸国との間でしばしば政治的対立を起こしてきました。そうした挑発行為も中南米のK-POPファンを刺激し、6月の選挙妨害につながったとの見方もできます」(国際ジャーナリスト)
しかし、K-POPファンの影響力が高まることに根深い問題もあると、前出の政治記者は危惧する。
「ご存知の通りK-POPは韓国のコンテンツです。つまりK-POPファンが政治的発言力を得るということは、韓国の国際的なプレゼンスが高まることにもつながります。日本と韓国の外交問題に関して言えば、徴用工や慰安婦などの問題でも、大量のスパムを送りつけてくるK-POPファンの存在に怯えて、自由な発信ができなくなることも考えられます。その正体はいまだ謎のベールに包まれていますが、事実、トランプ氏はK-POPファンの攻撃にさらされて、結果的に大統領選で敗北しました。今回のバイデン勝利の立役者との印象も広まっており、ネット上での存在感は高まるばかりです」
音楽をはじめ、普遍的な文化の力が政治利用されないことを願うばかりだ。
(道明寺さとし)