コロナ禍の影響で異例の“取材制限”が設けられた2020年のプロ野球。ベテラン記者やリーグ関係者を緊急招集して、戦力外や復活劇にまつわる「ベンチ裏事件」を総決算してもらうと‥‥。
C まずはパ・リーグの話題から。楽天は石井一久GM(47)の独裁体制に拍車がかかったシーズンだった。
B ドラフト前のスカウト会議後に開かれたオンライン会見で「私が球団です」と断言したんですから‥‥。
D あれにはみんなアゼンとしていましたね。メジャーでFAになった田中将大(32)獲得に楽天が参戦すると1面で報じたスポーツ紙を名指しして「この記事で詳細を語っている発言者は私ではありません。私が発言していない以上、事実ではありません」と怒り心頭。そのコメントに付け足した仰天発言でした。
B 球団の全権を握っているかのような物言いですね。楽天は石井GMが連れてきた外様のコーチや選手ばかりを優遇するのが目に余り、かねてから球団内からは不満の声が上がっています。
A 優遇といえば、シーズン中に脊椎内視鏡手術を受けたりと、またしても1軍で1球も投げなかった“給料ドロボー”の西武・松坂大輔(40)の来季現役続行が決まりましたが。
B 年俸3000万円程度なので、投げなくてもグッズの売り上げだけでペイできますから、球団としてはかまわないんですよ。
C 日本ハム・斎藤佑樹(32)の場合は、事情がちょっと違う。今季は右肘痛に悩まされて2軍暮らし。投球を見たけど、130キロ程度しか球速が出ないし、あれでは使いみちがない。で、オフに手術を検討していると。これが復帰を見据えた契約延長のための「延命措置」だといぶかる球団関係者もいるんだが‥‥。
D 実質的に、本人に進退が委ねられているからです。
E 反対に球団が引導を渡したのが、阪神の福留孝介(43)。来季構想外でも、功労者にはコーチ兼任なんかを打診するステップを踏むのが通例なのに。それがホテルに呼び出されて10分程度、クビ切りの話をしただけ。甲子園記念館の館長になったらどうや、みたいなナメたオファーを出したらしい。
C 8月には1日で2軍と1軍の試合をハシゴする「親子ゲーム」に強行出場した件で、矢野燿大監督(51)にとっても、煙たい存在になったんでしょう。
E あの「親子ゲーム事件」は、打った試合の翌日にスタメンを外されたり打順を下げられたりという采配への、福留なりの抗議ですわ。おまけに、選手たちと集団食事会を開いてのコロナ感染で問題になった。若手の指導的立場にある最年長だけに、球団としてはもう見放したということ。生え抜きでもないしな。
A いや、生え抜きでかつてエースだった能見篤史(41)も、アッサリとクビになりましたよ。
E 信じがたいことに、球団は少年野球を指導するアカデミーのアドバイザー職を提示したらしい。あれほどの功労者に「無礼」としか言いようがない。円満な引退に見える藤川球児(40)にしても「スペシャルアシスタント」みたいな腰掛けポストしか用意していなかったというから、アホや。
D 中継ぎで復活した藤浪晋太郎(26)をブルペンで指導したのは藤川だったといいます。その他の若手育成の一助を担っていただけに、疑問しか湧きませんね。相も変わらずな阪神の冷たい体質ですが。
B ドラフトでは近畿大学のスラッガー、佐藤輝明(21)のクジを引き当てましたが、佐藤入団で同じく近畿大学OBの糸井嘉男(39)が追いやられそうだ、という話を聞きました。
E 佐藤の本職のサードには打撃が開眼した大山悠輔(25)がいる。矢野監督は外野転向を示唆していて、となれば、レギュラーが固定されていないライトのポジションに収まるんとちゃうかな。必然的に玉突きに遭うのは糸井か‥‥。
D 糸井は9月に調子を取り戻したけど、古傷の右膝が痛むし、フル出場は厳しい。それで年俸4億円では、球団としても困った存在なのです。
E 関西のメディアでは佐藤を「糸井2世」と呼んでたけど、文字どおり継承されそうやね。
(年俸は推定金額)
A:ベテラン遊軍記者
B:パ・リーグ関係者
C:球界OB
D:スポーツライター
E:在阪メディア関係者