11月4日、「餃子の王将」を運営する王将フードサービスは「2020年10月月次売上高」を発表し、同月比で創業来最高を記録していたことが明らかとなった。新型コロナウイルスの影響で多くの飲食店が厳しい状況に置かれる中、王将が絶好調な理由はどこにあるのだろうか。
王将では10月の直営全店売上高が 64億3300万円となり、過去最高の売上高だった昨年の同期を2.4%上回り記録を更新。王将フードサービスによれば、「今年度好調を継続している店外売上(テイクアウト・デリバリー)が前年同月比 140%という高い水準を保った上に、店内飲食が前月よりも8ポイント上昇したことにある」と説明している。
「王将が驚きの売上高を記録した理由は、テイクアウトの強化と郊外出店の強化にあると考えられます。テイクアウト販売はもともと行っていましたが、昨年からは消費増税による軽減税率の導入が控えていたこともあって、新メニューを投入したり、持ち帰り限定のセールをおこなったりとテイクアウトにかなり力を入れていました。さらに、今年3月には電子レンジで温め可能な新容器を使った『レンチンシリーズ』をスタートさせたことで、コロナ禍のテイクアウト需要に見事に対応できたと言えるでしょう」(経営コンサルタント)
また、王将はこれまで駅前や繁華街を中心に出店していたが、ここ最近は郊外にも多く出店していたことも功を奏したという。
「コロナの感染拡大による外出の自粛やテレワーク推奨によって駅の利用者が激減したことで、駅前を中心に出店している立ち食いそばチェーンの『富士そば』は閉店が相次ぐなど大きな打撃を受けていますが、郊外店を増やしてきた王将は逆に在宅で働く人たちが家族でテイクアウトする需要が増え、緊急事態宣言が発令された4月は前年同月比78.3%、5月は同88.2%と売上は落ち込んだものの、客単価は4月で同111%、5月では同116.1%と増加していたのです」(前出・経営コンサルタント)
テイクアウトで強みを発揮した王将だが、店内利用客も徐々に戻りはじめており、ここから本当の快進撃がはじまるのかもしれない。
(小林洋三)