2年前にスピード違反をしながら警察からの出頭要請に応じなかったとして、住所不定の70代の男が、10月19日に道路交通法違反の疑いで逮捕された。
男は2018年5月、北海道の長万部町旭浜の国道で、法定速度60キロから31キロオーバーの91キロで運転。その様子を「オービス」に記録され、警察が出頭を要請。しかし、男はこれ拒否し続けたという。
「北海道警による出頭要請は電話で25回、文書で13回行われたようですが、男はいずれもこれを無視。さらに、青森県で警察が男と接触したものの、その際も男が対応を拒んだため、19日、青森県五所川原市で男の身柄を確保、道路交通法違反容疑での逮捕となったようです」(地元紙記者)
とはいえ、最初の出頭要請から計38回、しかも2年という月日を経ての逮捕に、SNS上では《余計な時間と経費を使わずにさっさと仕事をしろ!警察》《2年余で38回って猶予しすぎ。警察の職務怠慢だよ。出頭要請3回位で逮捕すべき》《堪忍袋が切れるのが遅すぎる、それで事故が発生していたら本人は勿論、放置していた警察にも責任があるのではないか》
等々、警察の対応をめぐり非難の声が多くみられた。
たしかに、常識的に考えれば、2年という期間は長すぎると思われてもしかたがないが、そんな悠長とも思える対応の要因にあるのが「時効まで3年、という警察ならではの考え方」にある、というのが、刑法に詳しいジャーナリストだ。
「よく、ネットなどでは交通違反による出頭要請も、拒否し続ければそのうち来なくなる、といった都市伝説があるようですが、あれは完全なるデタラメ。出頭要請を拒否すれば当然記録に残りますし、それが2回、3回となっても記録から消えることはありません。ただ、速度超過という違反には3年という時効があるので、他の事件もあってついつい後回しにしてしまいがち。それを合理的ととるか、怠慢ととるかどうかは別ですが、たしかに、出頭要請している人物が危険運転を繰り返しているような場合もありますからね。今回の2年経過しての逮捕には、時効を許さない姿勢を示す意味もあったのでは…。やはり、刑法を改正し何回出頭要請を拒否したら逮捕、といった基準を設けるべき時期にきていると思いますね」
ちなみに、オービスで撮影された写真からドライバーを特定できない場合でも、車両の特徴や日頃の取締り、聞き取り調査によって捜査を進め、検挙につながるケースも多いそうなので、無駄な悪あがきはしないほうが良いのだとか。たった一度のスピード違反でもブタ箱に放り込まれる可能性があることをドライバーは認識すべきかもしれない。
(灯倫太郎)
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