メジャーリーグの情報サイト「MLBトレード・ルーマーズ」が、10月26日に衝撃的なニュースを報じた。巨人から千葉ロッテへの移籍で蘇った澤村拓一投手について《早い段階から複数の米球団が興味を持っていた》とし、ネクストメジャーリーガーの一番手に挙げたのだ。「メジャー移籍に前向きかは不明」とも前置きしていたが、今季、澤村が海外FA権を取得することを指して、譲渡金が発生しない“お買い得選手”であることも伝えていた。
「90マイル(約150キロ)のフォークボールを投げるピッチャーとして紹介されていました。MLBスカウトが視察をしていたとありましたが、米メディアの間ではノーマークでした。そんな凄い投手がいたのかと話題になったのです」(米国人ライター)
千葉ロッテでの復活後、澤村はやり甲斐を何度も口にしていた。巨人在籍時には、不振で三軍まで落ちた経緯を思うと、まさにビッグチャンスの到来だが、メジャースカウトが着目していたのは“カネ”だ。
同サイトの一報が出る直前、MLBのロブ・マンフレッドコミッショナーは、新型コロナウイルス禍による今季の損失を明らかにした。レギュラーシーズンの試合数削減、無観客試合による影響は大きく、「全30球団で約30億ドル(約3150億円)」にのぼるという。
損失を少しでも減らすため、ポストシーズンマッチの進出チームを16チームに拡大したが、抜本的な打開策は今のところ示されていない。
「MLBはこれから打開策を検討しますが、各球団が努力していくしかないでしょう」(選出・米国人ライター)
年俸削減が手っ取り早いのだが、戦力補強を怠るわけにはいかない。澤村の名前が浮上してきた理由は、このあたりにありそうだ。同時にこんな声も聞かれた。
「2010年、澤村がドラフト候補だったとき、ニューヨークヤンキースが身分照会を行っています。単独指名を狙う巨人の謀略と疑われたこともありますが、当時の澤村がメジャー志望の意思を持っていたのは事実です」(ベテラン記者)
澤村は「国内なら巨人一本」を訴えた。千葉ロッテには、中央大学時代の同僚である美馬学、井上晴哉もいる。彼らとの再会が“忘れかけていた夢”を思い出させたとすれば、澤村がオフの主役になるかもしれない。米サイトが澤村に関する情報を伝えた26日には、奇しくも、日本ではドラフト会議が行われた。10年前、澤村はどんな思いでプロ入りしたのだろうか。
(スポーツライター・飯山満)