非純正カートリッジ会社が“本家”キヤノンを訴えた「リサイクル裁判」の行方

 大手精密機器メーカー「キヤノン」がプリンターのインクカートリッジの仕様を変更してリサイクル品の販売を妨げたとして、10月27日、リサイクルインクカートリッジを製造・販売する「エコリカ」が3000万円の損害賠償などを求める訴えを大阪地裁に起こし、リサイクル品の是非について議論が巻き起こっている。

「エコリカは使用済みの純正インクカートリッジを家電量販店などから回収し、カートリッジにインクを再注入して割安価格でリサイクル販売を展開してきましたが、2017年にキヤノンがインクカートリッジのICチップの仕様を変更したことで、リサイクル品が使用できなくなったといい、これが独占禁止法の『競争者に対する取引妨害』にあたると主張しているのです」(社会部記者)

 この訴えに対してネット上では《キヤノンの純正インクカートリッジは高すぎるからリサイクル品も使えるようにすべき》《確かに純正品しか使えないようにするのは独占禁止法になる》と応援する声がある一方、《他人様のカートリッジにインク入れてるだけなのに、それで訴えるってどうなの?》《リサイクルカートリッジでプリンターが故障しても責任は取らないのに、本家を訴えるのは少々疑問》など否定的な意見も少なくない。

「インクカートリッジは消耗品ビジネスとも言われ、プリンターを安く販売する代わりに消耗品であるインクカートリッジで儲けを出す仕組みになっているため、リサイクル品や非正規品を製造・販売する業者をメーカーが訴えるケースはたびたびありますが、逆にリサイクル業者がメーカーを訴えるというのは異例中の異例です。また、カートリッジは年間2億個が流通するとも言われていることから、判決によってはメーカーの売上に大きく影響を及ぼすものと考えられます」(経済ジャーナリスト)

 果たして、どんな判決がくだされるのか。裁判の行方に注目だ。

(小林洋三)

※写真はイメージです

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