「住宅設備大手のLIXILグループでは昨年10月、瀬戸欣哉CEOが退任していたのですが、その瀬戸氏が4月5日に都内で突如記者会見を開き、10月の退任の裏側を明かしたうえ、6月の株主総会で自らCEOに復帰する株主提案をするとぶち上げたのです。これは完全にクーデターで、今後は瀬戸氏と潮田洋一郎会長兼CEOとの委任状を巡るバトルに発展する気配を見せています」(経済評論家)
会見での瀬戸氏の説明によれば、昨年10月のイタリア滞在中に潮田氏からの電話で、突如「指名委員会で集まった。指名委員会の総意で辞めてほしい」と伝えられたといい、退任せざるをえない状況に追い込まれたという。
「さらに瀬戸氏によれば、人事が承認されたのち、10月の指名委員会で潮田氏の口から『瀬戸氏が辞意を持っているため交代しなければならない』と伝えられていたことを知ったという。その潮田氏は、LIXILグループの母体となるトステムの創業家一族で絶対的な力を持ち、瀬戸氏ら2代連続で社外から招いたプロの経営者をクビにしている。瀬戸氏には2001年に統合されたINAX創業家の出身でLIXILの取締役でもある伊奈啓一郎氏が共闘する構えを示しており、全面対決は避けられない状況になっています。落ち着きどころはどこであれ、遺恨が遺恨を呼ぶことになりそうです」(全国紙経済記者)
そもそもLIXILは、トステムやINAXのほか、新日軽、東洋エクステリア、サンウエーブ工業の統合により誕生した巨大グループだけに、一度揺れ始めたお家騒動は、そう簡単には収まりそうにない。
(小林洋三)