店舗数の多い大手チェーンの独壇場と言われているコンビニ業界。そんな中、ある地方都市の小規模コンビニチェーンが地元住民だけでなく観光客からも注目を集めている。北海道函館市を中心に展開するハセガワストアだ。
地元で「ハセスト」の名で愛されている同コンビニは、函館市と隣接する北斗市、七飯町にわずか13店舗のみ。北海道最大手コンビニのセイコーマートと資本・業務提携を結んでいるが、総菜を中心とした独自色の強いメニュー構成となっている。
なかでも目玉メニューが焼きたてを提供するやきとりとそれをご飯の上に乗せたやきとり弁当。しかも、鶏肉メニューもあるが主力は豚肉だ。
全国的にやきとりと言えば、当然鶏肉で「それってやきとんでは…?」との声が聞こえてきそうだが、どういうわけかやきとんとは呼ばれていない。ハセガワストアのある函館ではないが「室蘭やきとり」の名前で知られる室蘭でも豚肉を使用するのが一般的だ。
函館は海の幸のイメージが強く、長らく道外の観光客にはあまり知られていなかったが、地元出身のGLAYのメンバー、YUKI(元JUDY AND MARYのボーカル)など地元ゆかりのアーティストたちがハセストのやきとり弁当についてメディアでコメント。ほかにもインターネットの影響などで今では観光客が訪れるB級グルメスポットとして定着している。
現在は函館駅のすぐそばにやきとりメニューの販売に特化したハセガワストア函館駅前店もあり、乗り換え時間の合間に買い求めることも可能。1日中、多くの観光客で賑わっている。
ほかにも函館ではご当地ハンバーガーチェーンの「ラッキーピエロ」も大人気。朝市などに代表される海産物も美味しいが、ガイドブックなどではほとんど紹介されていないハセガワストアのような店があるのも函館の魅力。
いよいよ10月1日から東京発着の「GoToトラベル」が解禁となる。この機会を利用して函館旅行を計画している人も多いはず。訪れた際にはぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。
(高島昌俊)