世界一に認定!? アメリカで韓国「辛ラーメン」が爆発的ヒット!人気の理由は…

 世界各国で新型コロナウイルスによる”巣ごもり需要”が続伸するなか、アメリカで韓国のインスタントラーメン「辛ラーメン」が爆発的売り上げを記録しているという。

 今年6月、ニューヨークタイムズ紙のレビューサイトが「The best instant noodles(世界で一番おいしいインスタント麺)」ランキングを発表。すると、なんと韓国の「辛ラーメンブラック」が1位に輝き、それがアメリカ国内外に報道され話題となった。

 世界のインスタントラーメン事情に詳しい食品ジャーナリストが語る。

「インスタントラーメンと言うと、つい日本や中国といったアジア圏をイメージしがちですが、実はアメリカは消費量で世界第6位を誇る”ラーメン大国”。世界ラーメン協会の発表によれば、去年1年間のアメリカのインスタントラーメン消費量は46億3000食で、今年は新型コロナの影響で需要がさらに拡大し、2月下旬からのわずか1カ月間で、インスタントラーメンの売り上げが5倍以上もアップしたと報道されています。特に人気なのが韓国の『農心』が発売する辛ラーメンで、同社によればアメリカでの上半期の売り上げ額は1億6400万ドルと、前年比で35%もアップし、歴代最高額を達成しました」

 その「農心」の主力商品が「辛ラーメンブラック」というわけだ。日本でも「辛ラーメン」はスーパーやネットなどで以前から販売されているが、売り上げのトップからはほど遠い存在だ。

 そんなこともあって、アメリカでの「辛ラーメンブーム」のニュースに、SNS上では、

《味噌味や塩味の繊細な味付けよりも、とりあえず舌が痺れるほどの辛味で腹が満たされれば良い、そんなニーズに乗っているだけなのかも…》《何でもケチャップやマスタードをつけたがるのが欧米人。濃い味が好きな人には韓国のラーメンはしっくりくるのかな…》《韓国人の友人にもらって食べたことはあるが、パッサパサの乾燥ネギが少量、味のしないスープ、痛みすら感じる辛さが旨味だと言わんばかりの赤い香辛料、凄まじく低クオリティなシロモノだった》

 と、その人気に首をかしげる声も多く、さらには昨年10月、日本を襲った台風10号に備えた買い込みで、コンビニやスーパーから商品がほとんどなくなる中、「辛ラーメン」だけが陳列棚に残っていたこともあってか、

《災害時に唯一売れ残っていた辛ラーメンが売れているとはね。たしかにアメリカでは味噌ラーメンが売れにくいのはわかるけど……》《日本のインスタントラーメンの凄さを教えてくれる一品です!》といったコメントも多かった。

 前出のジャーナリストが語る。

「もともと、韓国の即席麺業界に技術を無償で、製造機械を原価で提供したのは日本の食品メーカー。韓国の即席麺が誕生したのは1963年で、当初は日本と同じレシピでしたが、その後、韓国人の嗜好に合わせ、辛さを増すなどして現在に至っています。ところが、『農心』をはじめ、大半のブランドは日本から技術供与を受けたことを一切公開していないばかりか、日本の食品メーカーに提携を申し入れ、技術を得ると提携を一方的に解消する、といった事例もあると聞きますからね。まさに『軒を貸して母屋を取られる』で、言うなればアメリカで起こっている『辛ラーメン』ブームの背景には日本による技術提供があったといっても過言ではないということです」

 一説には、昨年、アメリカでも公開されたオスカー受賞作「パラサイト 半地下の家族」の影響もあったと言われる。商品こそ違うが、同作において韓国の即席麺文化を広めるのに一役も二役も買ったという見方もできる。インスタントラーメン発祥の国として、日本のメーカーもここは意地の見せどころだろう。

(灯倫太郎)

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