就活生の本性をズバリ!? 企業向けSNS「裏アカ」特定サービスの問題点とは?

 企業専門の調査会社・企業調査センターが9月7日から提供を開始すると発表した「裏アカウント」の特定サービス・通称「Sトク」がネット上で物議を醸している。依頼企業の採用候補者のSNSアカウントを特定し、“候補者の人間性”と“ネットリテラシー”の確認を代行してくれるという、多くの新卒採用を迎える企業の人事にとっては画期的なサービスだ。

 発表資料には「コロナ禍におけるウェブ面接の急増に伴い、就活生の人間性がわかりにくくなっている今、徹底したSNS調査を通じて問題社員の採用をあらかじめ排除できるサービス」と記されている。

 このサービスの発表にネット上がざわついた。Twitterでは一時「裏アカウント特定サービス」というワードがトレンド入りを果たし、「こんな調査するような企業では絶対に働きたくない」「絶対にやめてください!特定されるなんて恥ずかしすぎる」「匿名性のあるSNSだから利用しているのに、あの手この手で探られちゃうのか」「プライバシーのかけらもない」と多くの否定的な意見で溢れた。

 さらに「裏アカ」の特定について、冤罪を危惧する声も挙がっているという。

「簡単にアカウントを作成できるSNSでは、なりすましによるいたずらも容易にできます。貶めたい相手がいれば、あえてその相手の特定できるような情報でアカウントを作成し、相手に成り代わり好き勝手なことを発信する事だって可能なわけです。特になりすましの被害は多く、『身に覚えのないアカウントが作成されていて、勤めている会社や上司の悪口が書き込まれており、会社で問題になってしまった』というまったくの濡れ衣を着せられてしまったユーザーや、『友達がアップしていた自分の顔写真が悪用され、出会い系サイトやわいせつな投稿に使用されてしまった』なんてケースも少なくないです。もしそういった誤った情報が企業側に“裏の顔”だと知らされてしまえば、“不採用者に口なし”。誤解を解く機会も与えられずに不採用にされてしまうでしょう」(メディアライター)

 同社が提供するサービスは88%の割合で「裏アカ」の特定が可能だという。そのノウハウで冤罪の起きることがないよう、“なりすまし”を見極め、確実に本人の裏アカが精査され、公平に取り扱われることを願わずにはいられない。

(浜野ふみ)

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