「ハム太郎」がバンコク反政府デモの“象徴”に!オタク文化が世界を変える?

 タイ・バンコクで26日、大規模な反政府デモが勃発した。15万人を集めた2014年のタイ軍事クーデター以来、最大の反政府抗議運動として世界の注目を集める中、参加者たちがある日本の人気アニメの主題歌を用いた替え歌で現政権を批判すると、その動画が日本でも拡散され話題となっている。

 デモ隊グループが使用したのはハムスターが主人公の人気アニメ「とっとこハム太郎」の主題歌。バンコクの民主化記念碑の周りを、車輪を回すハムスターのごとく、ぐるぐると替え歌を歌いながら集団で走り回った。「大好きなのはひまわりの種」という元々の歌詞を、政府への風刺的な歌詞「大好きなのは納税者のお金」に言い替え、「一番おいしいのは税金だ!国会を解散しろ!」とメロディに合わせて歌い上げた。この反政府デモで抗議者らが訴えるのは国会の解散、政府批判者への嫌がらせの中止、憲法改正という三つの要望だ。

 以前よりタイでは軍主導の政治を現代でも継承しているプラユット政権への抗議運動が展開されていたが、今回デモの主導となった自由青年運動と呼ばれるグループ集会では「新しい世代のやり方で抗議をする」としており、そのひとつが、人気アニメの主題歌を用いたデモだったということか。

 この抗議運動は「#HamsterMovement」と称され、ハッシュタグも作られており、ネット上にハム太郎のグッズを掲げながら抗議活動を行う写真などが次々投稿された。

 実はこのハム太郎デモは、日本のオタクたちのある文化の影響を受けているのではないかと言われているのだ。

 ハム太郎の主題歌を歌いながら大勢のオタクが円になって駆け回る。“ハム太郎サークル”もしくは“ハム太郎コール”と呼ばれるこの行動は日本のオタク文化のひとつで、アニメファンが集まるクラブイベントやアニソンを中心とした音楽フェスでは鉄板の盛り上げコールである。

「大好きなのは」(はいせーの)「ひまわりの種」(俺もー!)というような合いの手を入れながら、オタクたちがハムスターのように駆け回るのだ。その様子は動画サイトなどにも多数アップロードされており、それを見たタイの人がデモに取り入れたのではないかとネット上では推測されている。

 今回拡散されたバンコクでの動画を見た日本のオタク趣味の男性は「このコールは、日本のオタクの間ではみんなで一体感を得る方法として定着していた。タイの人々もハム太郎の歌を通して団結しているのではないか」と話す。

 ハム太郎が海を越えてタイの人々の団結を生んだ。日本のオタク文化が世界を変える日が来るかもしれない。

(浜野ふみ)

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