1985年に発売され、日本国内で681万本、全世界では実に4,024万本の売り上げを記録し、空前の大ブームを巻き起こした任天堂のゲームソフト「スーパーマリオブラザーズ」。
その未開封英語版カセットが10日(現地時間)、米オークションサイト「ヘリテージオークションズ」で、11万4000ドル(約1218万円)で落札されたと、CNNテレビが伝えた。
この価格は、同オークションサイトのゲーム落札における歴代最高額だというが、
「今回落札されたスーパーマリオは『Super Mario Bros. – Wata 9.4 A+ Sealed NES Nintendo 1985 USA』と表記され、WataGamesという鑑定機関によってかなり良好な状態だとお墨付きを与えられています。このソフトのパッケージは『ブラック・ボックス』と呼ばれ、当時、1年間で4種類のバージョンが製造されたものの、各バージョンとも生産期間が数カ月と短いことから、現物もさることながらパッケージも激レアとされ、めったにお目にかかれない逸品。Hangtabという商品を吊り下げるための部分に、目立った損傷が見られなかったのも評価されたポイントではないでしょうか。実は昨年2月にも同様のソフトが約1100万円で落札されていますが、今回はそれより118万円上乗せされたわけですからね。まだまだ、値上がりが予想されますね」(ゲーム雑誌編集者)
このニュースを受け、SNS上には往年のマリオファンと思しきユーザーたちからの書き込みが殺到。とはいえ、その評価は真っ二つに分かれているようで…。
《現在の人気や当時の衝撃を鑑みると、億まで引き上がっても納得できる》《芸術品と思うと感慨深い。100年もすればゴッホやピカソのような価値を持つものもあるかもね。限定品である程収集家には堪らないんだろうなぁ》といった意見がある一方、
《ゲームもおもちゃもクタクタになるまで遊んで、それが自分に取ってのプライスレス。遊ばないで保管して高値で売るなんか邪道だわ》《この手の高値取引は例えるなら初恋の子に初めて貰ったプレゼントみたいな物だ。本当に大切なのはプレゼントその物ではなく、その子との思い出だろうに。物はメモリーを増やすための手段に過ぎない》と、ゲームとみずからの人生をオーバーラップさせ、一抹の寂しさを訴えるような意見も少なくなかった。
なお、出品者については、シークレットとされているが、同オークションで鑑定したスペシャリストの「(おそらく1987年に)購入されたのち、どこかに置き忘れられたようだ」という談話が紹介されると、今度は《80年代に子供が事故などで突然亡くなるなどして、親が子供の部屋をそのままにしておき、現代になり、その親も亡くなってしまい、整理をしていたら出てきたとかなら悲しい》など、独自のストーリーを展開するユーザーもいて、改めて時代の流れを感じさせられることとなった。
80年代に青春を過ごした人々にとって「マリオ」は、文字通り青春の1ページ。未開封のままオークションに出品され、おそらく今後も誰にも遊んでもらえないゲームソフトの“無念”を考えると、「高額落札」をめぐって意見が対立するのは、当然のことなのかもしれない。
(灯倫太郎)