米子会社が「高額賃料」でコロナ破綻、「無印良品」国内事業は大丈夫か?

 良品計画は7月10日、米国で「無印良品」を展開する子会社MUJI U.S.A. Limited(以下MUJI USA)が米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続を申請したことを明らかにした。今後はこれまで通り事業を継続しながら自力での再建を目指すが、事実上の経営破綻となる。

 MUJI USAは2006年に設立。シンプルで高品質な雑貨が人気を集め、現在までニューヨークやカリフォルニア州で18店舗を展開していたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって3月17日以降は全店舗の営業を停止。結果、売り上げが大幅に落ち込んでいた。

 しかし、今回の経営破綻はコロナが直接の原因ではないという。

「MUJI USAは、ここ3年ですでに赤字決算が続いており、もともと破綻寸前の状態にありました。同社がここまで追い込まれた理由は主に2つ。1つはニューヨーク59丁目やマンハッタンにある『ハドソンヤード』内に出店するなど超が付くほどの一等地ばかりに店舗を構えており、賃料が大きな負担となっていたようです。そして、もう1つはEC(WEB事業)へのシフトに乗り遅れたこと。アメリカは日本よりもECへの移行が進んでいますが、MUJI USAはEC化率7%程度と低かったことも原因と考えられます。一方、日本の“本体”も3〜5月期四半期決算では売上が前年同期比29.9%減と、ここへ来ての経営状況は芳しくない。今回、子会社を切り離したように、国内の不採算部分をカットしていく可能性はありますね」(経済ジャーナリスト)

 国内事業には影響なしとする良品計画だが、どうやら手を打たざるを得ない転換期に来ていることは間違いなさそうだ。

(小林洋三)

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