スナック芸人の悲喜こもごも、M−1決勝戦で起きた奇跡の再会劇とは?

 芸事一本で食えないお笑い芸人は、アルバイトに水商売を選ぶことが多い。接客で話術を磨けるからだ。古くはダウンタウンも、ごく短期間ながら下積み時代に小さなスナックで働いており、開店から閉店作業まで任され、鍵を預けられるまでになっている。

 そんな芸人のスナック事情で昨年、ある奇跡が起こっていた。優勝を果たしたミルクボーイ(写真)がブレイクのきっかけをつかんだ「M-1グランプリ2019」決勝戦で、スナックのオーナーとバイト生が対面していたのだ。

「オーナーは審査員のオール巨人師匠で、働いていたのは決勝初進出のコンビ芸人・からし蓮根のボケ担当・伊織です。師匠が大阪・天神橋筋六丁目でスナック『TALK Song MS』をオープンすることになったとき、『近くに住んでいる若手はおらんか?』と芸人たちに声をかけ、伊織が働くことになったのです。ママさんがいて、カラオケがあるスナック。師匠は負けず嫌いなので、客とカラオケの点数を競い合って負けたあと、店を出て行き、他店で練習していたとか(笑)」(芸能ライター)

 無事にバイト生活を卒業した芸人が、数年後は経営側に回ることもある。スナック愛好家で知られる玉袋筋太郎はそんなひとりだ。

「14年に一般社団法人全日本スナック連盟を設立して、17年に都内一等地の赤坂で『スナック玉ちゃん』をオープン。オフィス北野時代の後輩芸人であるほたるゲンジの桐畑トールがチーフを務め、業界内外問わず温かい常連客に支えられています。すでに、大阪・北新地で直営2号店を出しています」(前出・芸能ライター)

 同じく、スナック好きが高じて東京・高円寺に「会員制スナック・ピエロ」を17年にオープンしたのは、まちゃまちゃ。かつては大人気ネタ番組「エンタの神様」(日本テレビ系)の常連だったが、ブーム終えんとほぼ同時に、スポットライトが当たる表舞台から消えた。その後も細々と芸人を続けながら、かつて中野のクラブで働いた経験と話術を生かして、全10席の小さな飲み屋のママになった。

 スナック経営者として、ほかの芸人と一線を画すのはキングコング・西野亮廣。国内最大級のオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」の活動資金とメンバーの支援によって、会員同士が交流できるスナック「キャンディ」を運営・経営している。

 芸人のスナック経営はさまざま。今後もスナックに関わる芸人は増えそうだ。

(北村ともこ)

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