コロナ自粛が開けて、“夜の接客業”が全国的に営業を再開する中、多くのトラブルも発生している。6月24日、大阪府の性産業店「H」の経営者と従業員が逮捕された。容疑は「不正競争防止法違反(誤認惹起表示)」。5月16日より営業を再開するに際し、店のホームページに《新型コロナウイルスの状況を見て一時休業していましたが、休業中に店内の除菌清掃の徹底を実施し従業員のウイルス検査の結果、全従業員に陰性診断がおり安全が確認されましたので下記日程にて営業を再開いたします》(原文ママ)と記していた。ここに書かれた「従業員」が、在籍する女の子を含めたスタッフを指しているのは明確だ。しかし、実際には在籍嬢はひとりも新型コロナの検査を受けていなかったという。
同店の摘発とコロナ自粛後のピンク業界について、大阪エリアのナイト情報誌の記者に話を聞いた。
「関西地区の性産業において、この店の摘発のニュースはかなり衝撃的でした。もし摘発されたのが無許可営業のデリバリー系の業者であれば、ここまで話題にならなかったと思います。しかし、このHという店は老舗の店舗型。スポーツ紙の報道には『警笛を鳴らす意味でも摘発した』との大阪府警の談話もありましたが、警笛としての効果は絶大だったと思います。業種はピンク系のサロンのようです。かれこれ10年以上は営業していたはず。料金は同業種のピンク系の中では若干高めの設定ですが、その分、女の子の質は高かったですね。とくに若い女性ばかりを揃えているわけありませんが、サービス、接客ともにお客さんの評価は高かったですよ」
評判の悪い店ではなかったようだ。実際、営業を再開した初日には、60人もの男性客が同店に押し寄せたという。しかしなぜ、このような「虚偽広告」を出してしまったのだろうか。
「やはりそれも、経営形態が仇になりましたね。デリバリー系の店でしたら、基本的に客がつかなければ経営も女の子も稼ぎゼロで終わりですが、店舗型はテナント代もかかります。さらに、同店は確か在籍嬢の給与保証もしていたはずです。店長は犯行にいたった動機について『集客のため』と言っているそうですが、自粛後お客さんが戻らなければ、店の存続は難しいという状況だったのかもしれません。庇うわけではありませんが、固定費がかさむハコ型のピンク系店舗はキツいですよ。他店も軒並み、崖っぷちの状況ですよね」
新型コロナ感染の「第2波」が懸念されるなか、夜の街のピンク業界の苦悩はこれからも続きそうである。
(オフィスキング)
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