先ごろ、小池百合子東京都知事が2020年の東京五輪開催期間中、首都圏の鉄道各社の終電を延長し“午前2時過ぎ”まで運行すると発表したが、「何らかのトラブルは必至」とする見方がある。
「東京五輪では、8つの会場で競技が23時以降に終わる予定となっています。2018年の平昌五輪では終電を逃してホテルに帰れない人が続出して大混乱になった例があることから、7月24日から8月9日まで終電を30〜90分程度延長して対応することが決まったのです」(鉄道誌記者)
この対策は主に、東京五輪観戦へやってくる外国人観光客へ配慮したものでもあるが、この記者によれば、終電時間を延長したことで様々なトラブルが発生する可能性があるという。
主なものは、以下の3つだ。
1)運転士によるトラブル…終電延長に伴う駅員や乗務員の人件費などは、鉄道各社の負担になる見通し。そのため、大幅な人員増は難しく、個人の負担もかなり大きくなると考えられる。運転士の睡眠時間確保を怠れば、事故等の原因となりかねない。
2)騒音・交通トラブル…深夜に飲酒した外国人が騒いでトラブルになるケースも考えられる。また、自国の選手がメダルを獲得した際などは、サッカーW杯やハロウィンの時に日本人が大騒ぎしたように、外国人が渋谷のスクランブル交差点などで大混乱を招く可能性がある。これが日本人のお祭り騒ぎと重なれば収集がつかなくなる場合も。
3)出勤トラブル…競技観戦後に繁華街で飲食をした外国人客が宿泊先に戻る時間帯と、日本人の出勤ラッシュ時間が重なる可能性が出てくる。そうなると、電車内のみならず駅構内もごった返し、トラブルが頻発する事態に陥る。
政府は五輪開催中、テレワークなどで交通の混雑を避けるよう呼び掛けているが、そう上手くいくのだろうか…。
(小林洋三)