これまで一貫してウイルス発生について責任を認めようとしない習近平主席に対し、ヨーロッパ諸国は徐々に対応を改めつつあるようだ。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が言う。
「ヨーロッパ諸国は、産業面で中国に大きく依存しているため、表立っては批判しづらい立場にあります。しかし、このコロナの霧が晴れた時、『なぜこんなことに?』という疑問が必ず湧く。そうなれば中国への風当たりは強くなるでしょう。アメリカと強固な関係を結ぶイギリスのみならず、現状、ドイツやフランスでも中国政府の責任を追及する声がしだいに大きくなってきており、いかに中国が世界から孤立しているかが証明されつつあります」
いち早くコロナウイルスから立ち直ったことをアピールすべく、中国側が大盤振る舞いをしてきた「マスク外交」についても、ここにきて批判が噴出。オランダ政府が購入した130万枚中60万枚のマスクは不良品で回収・返品されたばかりか、フランスには厚かましくも10億枚のマスク提供で、自国企業ファーウェイ社の最新通信設備導入を取引材料に持ちかけたと報じられたばかりだ。
「当の中国でも、イメージ悪化にはかなりの危機感を抱いていて、国家中枢に近いシンクタンク『中国現代国際関係研究院(CICIR)』から、『国際的な反中感情は89年の天安門事件以来の高まりとなっている』という報告書が上層部に上げられていることが報じられています」(前出・山田氏)
実は中国内部でも不気味な動きが起きている。
「実は、今年2月に中国国内で『新型ウイルスは習政権を狙ったクーデターだ』という説が流された。習政権は盤石と言われつつも、いまだに政敵の江沢民を支持するグループが政権内部や軍中枢にいるため、その対応に苦慮している。くしくも武漢ウイルス研究所のトップが江沢民一族に近いことから噂が流れましたが、その後も3月になって一部ニュースサイトがクーデター未遂説を報じています。実際、3月に中国内外にコロナウイルス終息をアピールした習主席の武漢視察は、国内でくすぶるクーデター説を一蹴する狙いもあったと言われている。国内情勢は必ずしも安泰とは言えません」(シンクタンク研究員)
まさに内憂外患。世界を敵に回しても強気の姿勢を崩さない習政権の外交姿勢は、隣国である日本にも多大な影響を与えようとしている。国際問題アナリストの藤井厳喜氏はこう断じる。
「今後、アメリカが主導して世界のサプライチェーン(製品の部品調達から製造、販売・消費までの流れ)からチャイナを除外する動きが出てくるのは間違いない。そうなれば、現状でチャイナ進出している日本企業も次々に撤退することになる。日本政府も、生産拠点の国内回帰のための緊急経済対策費として2400億円の予算を計上した。私は、今回が泥沼化の一途をたどる中国から足抜けする最後のチャンスだと思っている」
日本国内では5月12日に確認された新たな感染者は84人。3日連続で100人を下回り、コロナ克服に光明が差したばかり。武漢発のウイルスを「日本ウイルス」呼ばわりしたかと思えば、日本市場での品薄状態を尻目に、輸出をストップしてマスクを国内にバラまいたあげくに、高額で日本に転売するヤカラも跋扈している。もはや日本も、自国で賄える防疫体制を構築する時期に来たようだ。