英紙「Daily Telegraph」は4月27日、世界で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響により、サッカー界に新たな“反則条項“が加えられる可能性を報じた。
同紙によれば、国際サッカー連盟(以下、FIFA)がこれまでたびたび散見されてきた試合中の選手によるツバ吐き行為をイエローカードの対象とする案を提示し、今後は取り締まっていく方針を固めつつあるという。
その理由として、FIFA医療部門による「深刻な健康上の問題につながる可能性がある」との見解があるとし、「選手が吐いた唾液はその後何時間もピッチ上に残り続け、新型コロナウイルスを拡散する要因になってしまうリスクがある」とのこと。とはいえ、くしゃみによる飛沫や口内の異物を吐き出さなければならないケースも考えられるため、一発退場のレッドカードではなく、現時点ではイエローカードによる「警告」に値すると位置づけているようだ。
「日本のサポーターの間では、『そもそもピッチ上でツバを吐く行為は見ていて気持ちの良いものではない』との声も出ています。しかし、それ以上に、フィールドにいる22人以上のプレーヤーがあちこちでツバを吐き、その芝生の上に転倒したり、得点後に集団で寝っ転がったりする行為も多い為、コロナ禍では衛生上危険であると言えるでしょう。欧州サッカー界ではこれ以上長い期間、プロリーグの活動休止が続けば、経営破綻するクラブも続出してしまうとし、6月~7月頃に無観客でのリーグ再開案が検討されているようですから、ピッチ上の選手の安全を最優先させる必要があります。他にもサッカーでは、試合後に汗が大量に染みたユニフォームシャツを選手同士で交換したり、ピッチサイドに置かれたドリンクボトルを共有していたりと、“ツバ吐き“以外にも解決すべき課題は山積みです。無観客でのリーグ再開であれば、観客席でのクラスターは起こりませんが、選手はスタジアムのロッカーで同じジャグジーやシャワールームを共有することになる為、これまでとは根本的にやり方を変えていく必要があるでしょう」(スポーツライター)
毎年のように莫大な収益を上げ続けてきたヨーロッパの名門クラブも、今回のコロナ禍によって続々と選手への給与カットに踏み込んでおり、これ以上の活動休止は経済的にも命取りにもなりかねない。
然るべき衛生状態を保ちながら、再びスタジアムを興奮のるつぼへと復活させてほしいところだ。
(木村慎吾)